拍手の裏
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ここで先にやっていたのは君たちなんだから、最初のキーアイテムはもちろん譲る。確率ブーストかかったまま狩りを続ければ、きっとすぐ二、三匹目も出るだろうから、そこまで付き合って貰えれば……」
「あ……ああ、そうか……じゃあ、悪いけど、それで」
とキリトは少し歯切れ悪そうに答え頷いた。
少年はもう一度笑うと、歩み寄ってきて右手を差し出した。
「よかった、じゃあ、しばらく宜しく。僕は《コペル》」
「……よろしく。俺は《キリト》、そしてこっちが《シュージェル》だ」俺は軽く頭を下げ宜しくと言った。
すると、少年─コペルは軽く首を傾げ
「……キリト……あれ、どっかで………」
どうやら、β時代のキリトを直接ではないにせよ知っているようだった。
「人違いだよ。さあ、がんがん狩ろうぜ。他のプレイヤーが追いついてくる前に、《胚珠》を三個出さないと」
「ああ、そうだな」と俺
「う……うん、そうだね。頑張ろう」
俺達は頷き合い、間近で三匹固まっている
リトルネペント目掛けてダッシュした。
さすがは元βテスターだけあって、キリトとコペルどちらも
戦闘のカンはなかなかのものだった。
片手剣の間合いとモンスターの挙動
そしてソードスキルの使いどころをよく知っている。
俺達はどんどんネペントをポリゴンの欠片に変えていく
もう何匹狩っただろうか。
「なかなか、出ないな……」と俺。
それに続きコペルも「……出ないね…」と疲労の色が滲む。
俺達が狩り始めてすでに一時間以上経過している。
「もしかしたら、β時代と出現率が変わってるかもな」とキリト
俺は「勘弁してくれ……」と嘆くと
俺達からほんの十メートルほど離れた木の下に、
仄かな赤い光が生まれた。
俺達はこの約一時間半の間に、
三人ともレベル3まで上がっている。
俺達は休憩も兼ねて、草むらに立ち尽くしたまま
ぼんやりと湧出を眺めていた。
今では見慣れてしまったリトルネペントの
生物めいた光沢を持つ緑色の茎、
個体差のあるマダラ模様に彩られた捕食器、
そしてその上に─薄闇の底でも毒々しい赤に輝く、
チューリップに似た巨大な花…。
「………………………」
─チューリップに似た巨大な花!?
「……………───────!!」
俺達は声にならない雄叫びを上げた。
それぞれの剣を振りかざし
ネズミに襲いかかるネコの如き勢いで飛びかかろうと──
した寸前、キリトが両手で俺とコペルを止めた。
「《花つき》の奥に《実つき》がいる」とキリトが言うと
「──行こう。僕が《実つき》のタゲを取るから、キリトとシュージェルの二人で速攻で《花つき》を倒してくれ」
と言い残すとコペルは返事を待たず《実つき》に向かった。
今では花つきだろうが、ついてなかろうが一匹ずつなら
俺とキ
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