≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
≪イルファング・ザ・コボルドロード≫ その参
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、ディアベルさんを見殺しにしたんだ!!」
くしゃくしゃに濡れた顔をキリトに向け憎悪の乗った声音で叫ぶ。他のC隊のメンバーも同じようにくしゃくしゃの顔でいた。中には泣いている者もいる。キリトが分からない、というような調子の乗った声で呟いた。
「見殺し……?」
「そうだろ!! だって……だってアンタは、ボスの使う技を知っていたじゃないか!! アンタが最初からあの情報を伝えてれば、ディアベルさんは死なずに済んだんだ!!」
血を吐くような叫びが一度、広間に響き、静寂が戻ってくる。
まるで他人に責任を押し付ける子供の言い訳だ。しかしだからといって頭ごなしに誰も否定できなかった。彼らの怒り、ディアベルを失ったことに理由を欲しがる彼らの気持ちは、この場の誰もが、納得はできなくとも理解していた。今は亡き王の玉座に重く暗い沈黙が広がった。
意見の意思表示として右手を上げ、できるだけ優しく、話し合いに持ち込むべく抗議の声を上げる。
「昨日配布された攻略本には、ボスの情報はベータのものだったと大きく書いてあった。あの攻略本に書いてあることは本当で、ボスの武器とソードスキルが変更されていたと考えるのが自然だ。彼が持っていたのはボスの情報じゃなくて、あのソードスキルの情報なんじゃないのか?」
リンドは少しだけ喉を詰まらせたが、すぐに憎悪溢れる一言を、禁句の言葉を口にした。
「……あの攻略本が、ウソだったんだ。アルゴって情報屋がウソを売りつけたんだ。あいつだって元ベータテスターなんだから、タダで本当のことなんか教えるわけなかったんだ」
突如、湧き出た的外れの非難に、ふつふつと怒りが生まれた。
何を言っているんだコイツは、一時の感情で、何の意味をなく損しかない言葉を述べるのか。こんな、もうどうしようもない事で、アルゴを非難するのか。こんな、こんな奴がいるから、いつまでたってもSAOが始まらないんだ。怒りに任せて、現状維持に甘えるこんな奴らが、俺は、俺は――――
「やめて、スバル」
隣でインディゴが俺の袖を引っ張り、静止させる。喉元から出る『ふざけるなよ』という声を抑え込む。俺の怒声の代わりに、キリトの無感情な声が告げた。
「元ベータテスター。だって? ……俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」
予想外のキリトの声に、リンドが困惑する。戸惑いの声を上げたリンドに向かいキリトは続ける。
「いいか。よく思い出せよ。SAOのCBTはとんでもない倍率だったんだぜ。受かった千人のうち、本物のMMOゲーマーが何人いたと思う。ほとんどはレベリングのやり方も知らない初心者だったよ。今のあんたらのほうがまだしもマシさ」
その場が冷え込み、俺
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