第五章
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た。白いウェディングドレスに身を包み自分の控え室にいる紗江子がこれまでのことを振り返っていた。今までとは全然違う顔になっていた。
奇麗に化粧され顔は晴れやかであった。その顔で言っていたのだ。
「lここまで」
「そうですね」
そこには明もいた。白いタキシードを着てにこにこと笑っていた。
「まさかこうなるとは思いませんでした」
「結婚までは?」
「流石に。そこまでは」
はにかんだ笑みで述べてきた。
「考えていませんでした」
「それも縁ね」
紗江子はにこりと笑って言葉を返すのだった。
「こうなるのも」
「そうですよね。まさか先輩と」
「ちょっと」
明に声をかけてきた。
「はい、何か」
「もう先輩じゃないでしょ」
紗江子はにこりと笑って声をかけてきた。その顔で明の顔を見ていた。
「籍も入れたんだし」
「そうですね。それじゃあ」
「名前で呼んでいいから」
こう言ってきた。
「紗江子ってね。結婚するんだから」
「紗江子ですか」
「駄目?」
「いや、何か言いにくいなって思って」
はにかんだ笑顔のまま述べる。
「そういうのって」
「そうなの」
「呼び捨てじゃあれですよ」
明は言う。
「何か言いにくいから。だからそれは」
「何て言うの?」
「紗江子さんでいいですか?」
こう提案してきた。はにかんだままだったが述べてきたのだ。
「それで」
「ええ、いいわ」
紗江子はにこりと笑ってそれに頷いた。今までの酒で荒れた顔もふてくされた顔もそこにはなかった幸せの笑顔だけがそこにあった。
「それでね」
「はい、お願いします」
明はそのにこりとした笑みで応える。それからまた言った。
「これからも」
「こちらもね」
紗江子もにこりと笑って言葉を返す。何はともあれ彼女は念願の幸せを手に入れることができたのであった。
ジューン=ブライド 完
2007・4・1
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