第四章
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?」
この日の明が飲んでいるのは白ワインだった。それを飲みながら刺身に天麩羅を楽しんでいる。和食と白ワインも案外合うものなのだ。
「結果は」
「聞きたい?」
紗江子はウォッカをストレートで飲んでいた。食べるものは一応はサイコロステーキがあるが碌に食べずにウォッカばかり飲んでいたのであった。
「結果」
「勿論です」
刺身を醤油につけて口の中に入れながら応える。ハマチの刺身である。
「その為にここにいますし」
「わかったわ。それじゃあ言うわね」
「はい」
「いたわ」
紗江子は憮然として言ってきた。
「そうですか」
「しかもね」
憮然とした顔で言葉を続ける。
「その浮気相手何だったと思う?」
「ヤクザ屋さんの情婦とか本当に工作員だったとか」
「そんな甘いものじゃなかったわ」
こうも言う。明はそれを聞いて話が洒落にならない方向に進んでいるのを感じた。聞かずにはいられない。実際に話を聞いた。
「付き合う相手ってあれよ」
紗江子はウォッカをまた口に入れてから言う。
「女ばかりとは限らないのよ」
「女ばかりって」
「何だと思う?」
「ええと」
明は最初何のことかわからなかった。だが少し考えてから答えるのだった。
「若しかして、ですけれど」
とんでもない結論が出て来た。強張った顔で述べる。
「男とか」
「図星よ」
不機嫌さを二乗させてさらに苦虫を噛み潰した顔になって言った。
「両刀使いだったの」
「はあ」
これは想定していなかった。だがあると言えばあるのだ。それを今わかった。聞いている話が何か嘘のようにさえ思える。というよりは嘘だと思いたかった。
「よりによってね。高校生の男の子と付き合ってたの」
「高校生とですか」
「かなり可愛い子だったけれどね。けれども男よ」
「そうだったんですか」
「言ったのよ、そいつ」
憮然とした顔で述べる。
「女は君だけだって。よりによってもね」
「それでどうしました?」
明は紗江子に問うた。問わずにはいられなかった。
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