第五幕その三
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「すぐそこに倉庫があるから」
「その倉庫の中にですね」
「リアカーがあるよ」
そうだというのです。
「それを持って来よう」
「わかりました、それじゃあ」
こうしてでした、皆で倉庫に行ってそうしてです。
リアカーを持って来てでした、皆で。
ボタン=ブライトを乗せて運びます、ですが。
それでもでした、彼は起きないです。
しかもです、ベッドのあるお部屋まで運んでそうしてなのでした。
ベッドまで入れました、ですがそこまでも。
彼は全く起きません、それでカルロスも驚いて言いました。
「本当に起きないですね」
「流石に今回はね」
ドロシーも言います。
「特に起きないわね」
「運ぶ間かなり揺れていたのに」
リアカーも揺れます、当然ボタン=ブライトも揺れていました。
ですが全くです、彼は揺れないで。
それでなのでした、皆そのことに驚いているのです。
「全く起きないなんて」
「これは相当ね」
「滅多なことでは起きないね」
教授も言います。
「いやはや、どうしたものか」
「教授は何かアイディアがあるかしら」
「彼を起こす為のだね」
「ええ、何か知っていることもね」
「ううん、目覚め草とかかな」
「目覚め草をなのね」
「この子にその匂いを嗅がせれば」
「起きるのね」
「目覚め草なら植物園にあるよ」
そうだというのです。
「それを使えば」
「起きてくれるのね」
「うん、ただ」
「ただ?」
「あの草は使わない方がいいね」
教授は難しいお顔になってドロシーに言いました。
「出来ればね」
「それはどうしてなの?」
「匂いがきついんだ」
だからだというのです。
「それもかなりね」
「そんなに凄い匂いなの?」
「この子達の世界で言うと」
教授は五人の子供達に顔を向けてからドロシーにお話します。
「スウェーデンのシュールストレミング位にね」
「えっ、あれですか」
シュールストレミングと聞いてでした、カルロスはそれは幾ら何でもというお顔になって教授に応えました。
「あれ僕一度」
「食べたことがあるのかい?」
「はい、あまりにも臭いので」
それでだというのです。
「お外で食べたんです」
「中ではとてもだね」
「はい、食べられないです」
そうだというのです。
「お部屋の中に悪臭が充満して」
「それでお汁が服についたら」
「匂いがついて」
「とんでもないことになるね」
「あんな匂いがするんですか」
「だから植物園でもね」
大学の中にあるそこでもでした。
「目覚め草は他の植物とは別々に置かれてるんだよ」
「それを使えば起きても」
「あれは最後の最後にしよう」
ボタン=ブライトがどうしても起きない場合に限ってというのです
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