第五幕その一
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第五幕 起きないボタン=ブライト
一行が森の中を進むとです、目の前にです。
白いものが見えてきました、それは。
「ズボンだね」
「うん、間違いないね」
先には黒い靴があります、ジョージと神宝はそうしたものを見て言いました。
「青い中に白いものがあるよね」
「本当に目立つね」
「だからすぐにわかったよ」
「ボタン=ブライトだね」
「彼のズボンだよ」
「じゃあ間違いないね」
「うん、見付けられたね」
「寝てるのね」
ナターシャもです、そのズボンを見ながら言いました。
「どうやら」
「噂は本当なのね」
恵梨香も言います。
「ボタン=ブライトはよく寝る子なのね」
「そうなの、私もあの子と会う時はね」
ドロシーが恵梨香に言います。
「かなりの確率でね」
「寝てるんですね」
「そうなのよ、それで起こしてね」
「それからですね」
「そうなの、いつもなの」
それでだというのです。
「起こしてから旅をはじめるのよ」
「じゃあ今回も」
「今は旅はしていないけれどね」
大学の中にいます、それで旅をしている訳ではないのです。
「今回もね」
「起こして」
「そう、ボタンとスカーフを返しましょう」
こうしたことをお話してでした、そのうえで。
皆でボタン=ブライトのところに来ました、すると。
やっぱりでした、ボタン=ブライトは寝ていました。
可愛らしい感じのブロンドの髪の男の子です、お顔も可愛いです。白いセーラー服を着てそのうえでなのでした。
森の中でぐっすりと寝ています、その彼にです。
ドロシーが声をかけました、ですが。
「起きないですね」
「そうね」
ドロシーは首を傾げさせながらカルロスに答えました。
「今回はちょっとね」
「眠りが深いですか」
「そうみたいね」
「とにかくよく寝る子だからね」
教授も言います。
「こうしたこともあるんだよ」
「一度寝たらですか」
「起きないってこともね」
それもだというのです。
「あるからね」
「それじゃあ」
「もうちょっと起こしてみよう」
こう言ってです、教授もでした。
ボタンの身体を揺らしてそのうえで声をかけます、ですが。
やっぱり起きません、それでなのでした。
首を傾げさせてです、こう五人に言いました。
「駄目だね、今回は」
「何かあったんでしょうか」
「何もなかったと思うよ」
それは決してというのです。
「オズの国独特の草で寝たとかではね」
「この大学にそうした草はないですね」
「そう、ないよ」
絶対にというのです。
「植物園にもそうした草はあるけれどね」
「それでもですか」
「あってもね」
「今ここにはですか」
「ないよ」
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