第三章
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日はこれで」
「悪いわね」
「いえ、別に悪くはないです」
明はその言葉にはこう返す。
「楽しまれればいいですよ」
「わかったわ。それじゃあね」
「はい」
二人は別れた。上機嫌な紗江子に対して明は項垂れていたがそれはどうしようもなかった。しかし紗江子はそれには気付かない。暫くの間彼女は楽しい日々を過ごしていた。だがそれが次第に怪しくなってきたのだ。
「怪しい、ですか」
「そうなのよ」
この日は明と一緒に居酒屋にいた。そこで飲みながら話をしていた。
「今は勘の段階だけれど」
「どんな感じなんですか?」
「一言で言うとあれなのよ」
紗江子はそれに応えて言う。その手にはビールがある。今日はビールを飲んでいた。
「私の他にも付き合ってるのがいるんじゃないかって」
「そうなんですか」
「ええ。気のせいだといいけれど」
「じゃああれですよ」
明はここで言ってきた。
「少しヤマかけて」
「ヤマ、ね」
「はい。やってみたらどうでしょうか」
そう紗江子に提案してみる。彼にしては捨ててはおけない話だった。だからさりげなくだがこう提案してきたのである。
「それで」
「そうね」
紗江子もその言葉に頷いてきた。
「それじゃあ」
「はい、そうするといいと思います」
彼は言う。こうして紗江子は今の彼氏をさりげなくだが調べることになった。その結果はこれまた実に奇妙なことであった。
話をしてから数日後。二人はまた居酒屋で話をしていた。紗江子は今度はかなりふてくされた顔になっていた。その顔で酒を飲んでいる。
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