暁 〜小説投稿サイト〜
パンデミック
第六十五話「黒色の怪物」
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
音が聞こえる。
受け止めることはできたが、そこから動けない。

「ぐっ………ッ!!」

ブランクは耐えながら、レオを観察する。

必ずどこかに弱点か何かがあるはずだ。
殺すことができなくても、行動不能にできれば……

「……………! そうか!」

ブランクはレオの腕を全力で払い、素早く後退し距離を取る。

「(殺せるかどうかは分からないが………)」



ブランクが目をつけたのは、“関節”。
いくら硬化能力があると言えど、関節まで硬化させたら動けなくなる。
スムーズに動くために必要な関節はいくつもある。

首・肩周り・肘・脚の付け根・膝・足首………今のレオの状態を見ると、恐らくこれらの関節が
動くために必要になってくるはずだ。

首は相手を見失うのを防ぐため。
肩周り・肘は当然、攻撃のため。
脚の各関節は、移動と、硬化で重くなった身体を支えるため。

「(膝を砕いて、バランスを崩したところで肘を潰して、トドメに首ごと脊髄を蹴り潰すか……)」

黒色の怪物を殺すプランは浮かんだ。
あとはそれが通用するかだ。

「ガアァァァァ!!!」

レオが咆哮しながらブランクを殺すべく突っ込んでくる。

「(動きは相変わらず直線的………後ろに回り込めれば……いけるな)」

怪物の拳が放たれる。
ブランクはそれを直撃寸前で回避し、素早く背後……足元に回り込む。
そして、レオの右の膝裏に、全体重を乗せたエルボーを繰り出す。

バキバキ グシャッ


ブランクの予想通り、膝の関節部分の硬化は甘かった。
膝裏の硬化したコープスウイルスはガラスのように砕け、その奥の骨が潰れた。

「グッ、ゲェア!?」

突然の痛みにレオはバランスを崩し、膝をついた。
その隙をブランクは見逃さない。

膝と同時に地面についた左腕を両手で掴み、渾身の力で肘を蹴り上げる。

バキバキ ゴリッ


膝を砕いた時と同じ音を上げ、レオの肘の関節は逆方向に曲がった。

「ググウゥゥゥッ……!! 」

肘が折れたためか、体勢がさらに低くなった。

「(後は首を蹴り潰せば……終わりだ!!)」

レオの肩を足場に、首の側面を狙う。
左足に全ての力を促し、思い切り蹴り飛ばす。




バギィィィィン!!!



「何……ッ!?」


鈍い金属音。
鋭い眼でブランクを睨む黒色の怪物。

「調子乗ンナクソガアァァ!!!!」


痛みの中で、レオは一瞬のうちに首を硬化させたのだ。
それだけではない。
硬化の過程で、ブランクの足を巻き込んだ。
ブランクの足首から少し上まで、硬化したコープスに巻き込まれ、動けない。

「こいつッ!?」


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ