暁 〜小説投稿サイト〜
一日一日を生きる。
俺のとある一日。
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 俺の一日は、どきっという胸の高鳴りから始まる。理由は簡単。自分の寝ている布団に猫耳の生えた、傾国の美女といっても過言ではない美女が入り込んで、俺の顔を見ながら微笑んでいるのだから。


「おはようにゃ。もうご飯は出来てるから、早く起きるのにゃ」
「ううっ……分かった」


 俺が若干寝ぼけながら布団から体を起こすと唇に柔らかいものを感じる。キス、されているのだ。彼女からのいきなりのキス。一秒にも満たない時間だったかもしれないが、俺には三十秒にも一分にも感じられた。
 これが毎日のことである。いつも欠かさずにされてしまうのだが、慣れない。彼女曰く、返しても返しても返しきれない恩に対する恩返しなのだそうだが……如何せん、スキンシップが過剰すぎる。自分的に早く得だが、彼女が自分からやっていることなのか気になる。別に強要したりはしていないが、もし無理をしてやっているなら、やめてもらってもいい。ただ、見ている限りでは嫌がっているようには見えないから好きにさせている。


 俺はそんなことを考えながら、あらかた今日の準備をしてから下に行く。階段を下りると、目の前に広い庭が見える。それはよく老舗料亭で見ることが出来る日本庭園そのものだった。余談ではあるが、この広い家には俺と彼女しか住んでいない。俺の両親はすでに亡くなっている……さらに話はそれるが、俺の家系は代々このあたりの地域を収めてきた大地主だったが、突然俺の数代前の当主が誰かに売ったらしい。莫大な金額を対価に売ったという。今のその金は残っている。それも山のように。その金で俺は二人で生きていける。親戚に色々と言い寄られはしたが、両親が懇意にしていた弁護士の力を借りて守った。結局は力があればいいのだ。


 取り留めのないことを考えていると洗面台についた。まだうまく回らない思考を普段通りに戻すため、冷たい水で顔を洗う。
 洗い終わって顔を上げると、自分の顔が鏡に映し出される。よくありそうな普通の顔。イケメンの部類に入らず、かといって不細工でもない。そんな平凡な顔。ただいつも眠そうに半分閉じられている目で、それが吊り上っているものだから目つきは昔から悪かった。睨めば相手は大体萎縮する。そういう面では助かっているが、クラスメイトとかに怖がられるのがネックだ。
 ……早くご飯を食べよう。そう訴えかけているように腹の音がなった。


 居間につくとすでに彼女が席についていた。ちなみに和式なので座布団である。彼女は正座を崩して座っていたが、着物を着ているせいか様になっていた。


「遅いのにゃ」
「悪い、いろいろ考えてたら遅れた」


 彼女に急かされるようにして彼女の対面に座る。そしていつから続いているのか分からないが、昔からの習慣で日本だけの感謝をする。


「「いた
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