七話:多分、闘技場だと思う
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顔ではなくまるで怯えている子供を
あやす母親のような笑顔だ。
「ああ……大分収まったよ。ありがとうな、黒歌」
「辛いなら、休むかにゃ?お姉さんが添い寝してあげようか?」
「いや、大丈夫さ。それよりも料理を作らないとな」
今度はしっかりと包丁を握り正真正銘の笑顔を浮かべて笑いかける。
それに少しは安心してくれたのか下がってくれる黒歌。
さてと、少し時間が経ったし今から急いで作らないとな。
ああ、後、言わないといけないことがあったな。
「『トマトソースパスタ』はさ……先に食べさせないといけない人がいるんだ。だからさ、その人に食べさせたら黒歌にも作るよ」
「……………分かったにゃ」
しばらくの沈黙の後に同意してくれる黒歌。
……多分気づいているんだろうな。
そんな日が来ることなんてないって……
だってその人は―――もうどこにもいないんだから。
美候やアーサー、アーサーの妹ルフェイちゃんを加えての食事を終えての感想は一つだ。
ルフェイちゃんマジ天使!!
いや、アーサーの妹だから戦闘狂かもしれないと思ってたけど凄く礼儀正しい子だったし
食事の準備を手伝ってくれたり後片付けもしてくれたりでいい子だった。
しかも珍しく俺を疑ったりとか、いじったりとか、
戦いを挑んできたりとかしない子だったから凄く癒された。
ただ、調子に乗ってルフェイちゃんの頭をなでなでしたらアーサーが俺を
射殺すような目で見て来たのは誤算だったな。なんか黒歌もジト目で見てたし。
美候はその様子を見て笑ってたけどな。
それにしてもアーサーは意外とシスコンだったんだな……
ルフェイちゃんに近づく奴は殺してやるみたいなオーラを放っていたからな。
帰り際にまた戦おうと言っていたけど、あの冷たい声からして今度は俺を
本気で殺しに来るつもりなんだろうな……俺はただエルみたいに接しただけなのにな。
そう言えば今日は本当に珍しいことに黒歌が後片付けを手伝ってくれたな。
いつもは手伝わないのに……ルフェイちゃんが手伝っているのを見て触発されたのか?
何はともあれ後片付けが早くすんで助かったけどさ。
おかげで今日は早く寝られる。明日はオカルト研究部にでも顔を出してみるか。
Side黒歌
はあ……今日は結局ルドガーを『禍の団』に入れることは出来なかったにゃ
いきなりあのサルが喧嘩を売ってきたせいでルドガーは多分
何の組織に来たのかも分かってないだろうから、直ぐに入れるのは無理そうにゃ。
まあ、美候とかアーサーとは仲良くなったみたいだけどさ……男って分からないにゃ。
殴り合いした後に熱い握手とか女の私には分からないにゃー。
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