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ルドガーinD×D (改)
七話:多分、闘技場だと思う
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何に同意して欲しいかは分からないけど同意してあげるから捨てられた子猫のような目で私を見るのはやめるにゃ」
「うぅ……黒歌が居てくれて俺、本当によかったよ」
「何だか……こんなことで言われるのがもったいないような言葉だけど取りあえず、どういたしまして」

ああ…理解者が居てくれるっていうのは本当にいいことだな!!!
これだけで俺は頑張れる!!!
さあ、俺、渾身の一品を作るぞ!!!!!

「因みに今日は何を作る気にゃ?」
「『トマト入りカレー』と『トマトスープ』それとデザートに『トマト・ア・ラ・モード』だ」
「………トマトを使わないって選択肢はないのかにゃ?」
「ないな」
「即答かにゃ……分かってたけど」

むしろ今の俺からトマトを取ったら何が残るんだ?エルコンと猫好きしか残らないだろ。
え?十分すぎる?………いや、体はトマトで出来てるからさ。
補充しないといざという時に力が出ないだろ。

「そう言えば、ルドガーの一番得意な料理は何なのにゃ?」
「一番得意な料理か?」

そう言われて少し考える。スープはエルの大好物だったし、
俺にとっても思い入れのある料理だ。
でも一番得意な料理じゃないよな。俺の一番得意な料理か……ああ、あれだな。
そう思うと何の考えもなしに口から出てしまう。

「『トマトソースパスタ』だ」

俺が初めて作った料理だよな。それで―――

「ふーん、でも私食べたことないにゃ。今度作ってほしいにゃ」
「ああ、今度作る―――」



――『トマトソースパスタ、食べ損ねたな』――



「っ!!?」
「ルドガー!!?」

あの日の言葉が頭をよぎり、思わず持っていた包丁を取り落してしまう。
そうだったな………俺にはまず最初に『トマトソースパスタ』を食べさせないと
いけない人がいたんだったな……。
震える手で包丁を拾い上げようとして再び取り落してしまう……
その手の震えを無理やり抑えるためにもう一方の手で痛いほどに握りしめる。

そうか………俺は今まで無意識のうちに『トマトソースパスタ』を作らないように
していたんだな……そうだよな、まず最初に兄さんに作ってあげないといけないもんな。
俺以上にトマト大好き人間なんだから他の人よりも先に食べさせてやらないとな。

「ルドガー……大丈夫かにゃ?」
「ああ……ちょっと疲れてただけさ」

心配そうに俺を見つめる黒歌に無理に笑顔を作って笑って見せる。
震えはまだ止まらない。目をつぶって深呼吸をする。
すると不意に自分の手に柔らかな感触を感じて目を見開く。

「どう、少しは震えが収まったかにゃ?」

すると目の前には俺の手を握ってくれている黒歌が立っていた。
浮かべている笑顔もいつもの悪戯じみた笑
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