第二章 彼と彼女の事情
第十六話 机上演習〜Road to Elysion U / 楽園への道2〜
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。
「次の戦いは面白くなりそうだな、参謀。」
「えぇ、代表だけでなく、吉井君も何か野望が御有りなようですね。」
「野望、そうだな。それは言い得て妙だな。」
「お褒めに与り恐悦至極でございます。」
廊下から教室の中のことを窺っている僕らに、中にいる二人は全然気がついていないようだ。
「本当は、知っていたのではないのですか?私が手紙のことで根本君に脅されていたのを……」
「……」
何も答えることの出来ない吉井君、それに確信を得る姫路さん。
短期決戦ではあったが、後半戦での友香さんの奮戦(本人には冗談でも言えない)や、根本恭二写真集(関係各所にのみ配布、現在ムッツリ商会にて部分的販売中とのこと)などさまざまな爪痕を残して、対BC連合戦はFクラスの作戦勝ちで終わった。
彼ら二人もこの前の対戦ではヒドい目にあった当事者たちで……
そんなことを僕は静かな廊下から彼らを見守りながら考えた。
「ありがとうございます。本当に…本当にありがとうございます!」
そして……
二人の距離がゼロになった。
(見かけによらず積極的なんですよね、姫路さんって……)
「むご……」
幸せ死にそうな吉井
「あっ!ごめんなさい……つい」
「もう一度!」
解放された瞬間にそう口走ってしまった吉井。
だめでしょね、それは……
「もう一度……って何をですか?」
首を傾げてみせる姫路さん、あぁこの子悪い子だ。既成事実を作って島田さんから大きくリードを取りたいんだろうな。
「相手が吉井じゃなければその手は有効だったろうにな。」
ため息混じりの代表殿、どういうこと?
「もう一度壁を壊したい!!」
『何を言っているんだよ僕は』といった感じの吉井に、どうして素直に成ってくれないんですかと悲しそうな姫路さん、呆れ果てて何もコメントできないでいる僕、やっぱりなと再び深々とため息をつく代表。
「次壊したら留年に成っちゃいますよ?」
そんな姫路さんの声がむなしく教室に響いた。
(参謀、合わせろ。)
小声で僕に指示を出す代表殿。
「だからだ、Aクラスとの対戦でもあれは有効だろうが。」
少し大きめの声でそう切り出した代表の言葉、何となくしたいことが読めたのですが……
「いくら何でもむちゃくちゃです。その作戦は却下です。」
僕らの声にようやく気がついたらしいお二人さんが、扉から何食わぬ顔をして入ってくる侵入者に身構える。
「明久、お前はどう思うよ。」
「な…何をさ」
「俺はな、お前に今度はCクラスに潜入してもらってAへの突破口を開いて欲しいんだよ。」
「嘘ぉお!!」
絶叫する吉井、いくら何でもそれは露骨過ぎはしないですかね。
「代表、そんなに何度も何度も壁を壊したいだなんて考える方がいるわけ無いじゃないですか。」
わなわなと僕の方
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