第三
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「あれが国境を守る砦か。かなりでかいな」
「はい。戦争が起こるまでは帝国とアリアドネーでは学生の行き来が盛んでしたか
ら」
『だから、道も整備されているのだな。』
シャガルとアルファは、カイルの案内によって国境の砦の近くにいた。
元々この森の管理を任され、尚且つ村の長の息子である彼は、緑の深い森を庭のよ
うにかき分けて進んだ。
砦の近くまで来ると足音を殺して草薮に身を隠し、状況を伺う。
「しかし、思ったほど兵士はいないようだな。」
シャガルの見立てでは、数十人単位で兵士がいると見ていたようだが、実際に視認
できるのは数名しかいない。
「おそらく、前線へ召集されているのでしょうね。ヘラスは中立であることで平和
を保っていますから、ほぼ確実に敵対はしないでしょうし・・・」
ここに居る兵士の役目は、脱国者の捕獲及び始末ですよ、とカイルは付け加えた
シャガルは、もう一度砦を見上げ、兵士の位置を見た
外にいる兵士は三人。中からも話し声が聞こえるので、合計で十人程度だろう。
「カイル。三人相手にできるか?」
どのようにこの場を抜けるかと考たシャガルは、カイルに訪ねた。
勿論。例のとっておきに期待をかけてのことである。
いきなりの問いかけに、カイルは少し動揺したが
「はい。倒せなくても、足止めぐらいはできます」
そう力強く答えた。
シャガルは頷き、作戦をカイルに伝える。
「まず、俺が音を消す魔法を使う。俺は音が消えている内に砦の中へ。中の敵をな
んとかしよう。カイルは、外の三人を頼む。」
「音を消す魔法・・・はぁっ、すごいですね・・・!初めて聞きました。」
「こっちにはないのか。なかなか便利だぞ。」
そして、シャガルは諸々カイルに耳打ちをし、魔法を唱えた。
「求めるは静寂・暗庭」
☆◆☆◆
カイルは、シャガルの魔法を実際に感じ、愕然とした
確かに、音を消す魔法だと聞いてはいたが、これほど完全に音が途絶えるとは思わ
なかった。
一体どのような原理なのか。
いや、そもそもあのシャガルという男は一体何者なのか
まさに殺されんとしていた自分を助け、しかもアリアドネーへの亡命へさえも手を
貸してくれている。
あるいは、彼の旅のついで、なのかもしれないが
彼はほかの世界から、しかも、旧世界でもない場所から来たという
見たことも聞いたこともない魔法を使用してみせ、高位魔法使いを複数人相手にで
きるほどの実力を持っている。
さらには、謎の人格まで内包しているというのだ。
アルファ
そう名乗った人格は魔法の構成を瓦解させることができると
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