暁 〜小説投稿サイト〜
世界を超える保持者とα
第三
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「あれが国境を守る砦か。かなりでかいな」

「はい。戦争が起こるまでは帝国とアリアドネーでは学生の行き来が盛んでしたか
ら」

『だから、道も整備されているのだな。』

シャガルとアルファは、カイルの案内によって国境の砦の近くにいた。

元々この森の管理を任され、尚且つ村の長の息子である彼は、緑の深い森を庭のよ
うにかき分けて進んだ。

砦の近くまで来ると足音を殺して草薮に身を隠し、状況を伺う。

「しかし、思ったほど兵士はいないようだな。」

シャガルの見立てでは、数十人単位で兵士がいると見ていたようだが、実際に視認
できるのは数名しかいない。

「おそらく、前線へ召集されているのでしょうね。ヘラスは中立であることで平和
を保っていますから、ほぼ確実に敵対はしないでしょうし・・・」

ここに居る兵士の役目は、脱国者の捕獲及び始末ですよ、とカイルは付け加えた

シャガルは、もう一度砦を見上げ、兵士の位置を見た

外にいる兵士は三人。中からも話し声が聞こえるので、合計で十人程度だろう。

「カイル。三人相手にできるか?」

どのようにこの場を抜けるかと考たシャガルは、カイルに訪ねた。

勿論。例のとっておきに期待をかけてのことである。

いきなりの問いかけに、カイルは少し動揺したが

「はい。倒せなくても、足止めぐらいはできます」

そう力強く答えた。

シャガルは頷き、作戦をカイルに伝える。

「まず、俺が音を消す魔法を使う。俺は音が消えている内に砦の中へ。中の敵をな
んとかしよう。カイルは、外の三人を頼む。」

「音を消す魔法・・・はぁっ、すごいですね・・・!初めて聞きました。」

「こっちにはないのか。なかなか便利だぞ。」

そして、シャガルは諸々カイルに耳打ちをし、魔法を唱えた。




「求めるは静寂・暗庭」




☆◆☆◆



カイルは、シャガルの魔法を実際に感じ、愕然とした

確かに、音を消す魔法だと聞いてはいたが、これほど完全に音が途絶えるとは思わ
なかった。

一体どのような原理なのか。

いや、そもそもあのシャガルという男は一体何者なのか

まさに殺されんとしていた自分を助け、しかもアリアドネーへの亡命へさえも手を
貸してくれている。

あるいは、彼の旅のついで、なのかもしれないが

彼はほかの世界から、しかも、旧世界でもない場所から来たという

見たことも聞いたこともない魔法を使用してみせ、高位魔法使いを複数人相手にで
きるほどの実力を持っている。

さらには、謎の人格まで内包しているというのだ。

アルファ

そう名乗った人格は魔法の構成を瓦解させることができると
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ