憎悪との対峙
35 星の幻影
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のヘルメットを外した。
「うぅ…こわ…す…つぶす…」
「大丈夫。今助けるから…」
メリーは今までに見たことのないくらいに苦しそうな顔をして、普段からは想像のつかないくらいの荒々しい言葉を発している。
ハートレスはハンドガンタイプの照射装置にワクチンチップを装填し、小型のディスプレイに読込完了の表示が現れたのを確認すると、それをメリーの顔面に向けて照射した。
「うっ!?あぁ…やめ…」
「苦しいでしょうけど、我慢しなさい」
メリーを狂わせようとしていた悪の心が最後の抵抗を見せる。
手を施すのが遅れたため、通常よりメリーへの負担が大きかった。
だがギリギリのところで間に合った。
「ハァ…フゥ…わたし…一体?」
「大丈夫よ。もう大丈夫…悪い夢を見てただけ」
「!?…」
ハートレスは今までにスターダスト=彩斗に見せたことのない表情でメリーの手を握った。
その様子はずっと羨ましくて眺めていた公園で遊んでいる本物の親子のようだった。
「……」
スターダストは自然と反応が遅れ、2人の様子を数秒ながら眺めていた。
メリーは安堵感と疲労感から心底落ち着いたような穏やかな顔で気を失ってしまう。
だがそれによってスターダストもようやく安心した。
しかしそれでも緊張は緩めずにメリーに背負わせていたバッグをハートレスに渡す。
「ジョーカープログラムだ。電磁波を通さないこのバッグに入れていたからデータは無傷のはずだ」
「…大したものね。あの素っ頓狂な計画を成功させるなんて」
「だいぶ狂わされたがな」
「それに私がここに来なかったら?ワクチンなんて作ってなかったら?私が裏切るとは思わなかったの?」
ハートレスは正直に驚いていた。
正直、彩斗からすればメリーとジョーカープログラムを天秤にかければ当然、メリーに傾く。
最悪の場合、ジョーカープログラムは見捨ててやってくると思っていた。
お互い利用される関係ではあるが、どちらかといえば自分が仕切っているように見えるが、実際にその場にいって判断して行動を変化させられる彩斗の方に主導権がある。
間違いなく自分の提案には乗るとは確信していたが、完璧にこなしてしまった。
警備が厳重で無理だと判断すれば、ジョーカープログラムは諦め、メリーだけは命がけで救うという行動を取っていたかもしれない。
「メリーを救うまでは信用すると言ったはずだ」
「…あぁ…ずいぶんと細かいこと覚えてるのね」
「アンタもだよ。オレを信用したから作戦通りにワクチンを完成させてここにやってきたんだ」
「…ハァ…生意気。生徒たちは?」
「全員無事だ」
「狂わされたって、何があったの?」
「データには無かったが、WAXAに新任の指揮官がいた。そいつが無能な上、警察にVa
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