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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫
第2巻
テナルディエの策略
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満たした鉄瓶があった。俺らで言うならポットかな、兵は恐縮と感謝の言葉を述べ、リュドミラは腰に下げた二つの水晶の瓶を開ける。瓶の中にはそれぞれ紅茶の葉とジャムが入っていた。白磁のカップに熱い紅の湯を注いで、最後にジャムを入れる。

「熱いから。気を付けて、ゆっくり飲みなさい」

兵士は感謝の言葉を述べ、ありがたそうに紅茶をいただいた。俺はミルクと砂糖を入れるのが好みだが、オルミュッツの者はジャムを入れる紅茶を飲むようで。まあそれはリュドミラが入れた紅茶だからだろうなと思いながら、耳に付けている通信機からあちら側の声を聞いていた。その様子を映し出してリンクするので、俺の頭にはその映像が送られてくる。リュドミラは微笑を浮かべていたがどうやら自分で入れる紅茶を相手に飲ませるのが、趣味のようだ。まあ俺だってたまに料理するが、誰かが美味しそうに食べていれば誰だって嬉しい事だが、彼女にとっては心休まるものの一つのようで。兵士が下がるとリュドミラの微笑が消えて領主の顔となった。

「エレオノーラがこちらに向かっているわ、私に倒されるために。それとヴォルン大公は直接介入はしないと判断する、介入するのであれば旗があるはずだ」

リュドミラの手が、傍らに立てかけられた槍に伸びる。水晶と氷塊を組み合わせた穂先で短槍だが、ティグルが使ったから分かるが所有者が戦う時は柄が長くなる仕組み。冷気を操る竜具。凍漣のラヴィアス。

「予定通り動くわ。ブルコリ平原で一戦軽く交えた後、タトラ山に籠る」

「・・・・ルリエ様」

彼女の前に立つ指揮官が二人。いずれも三十代半ばの男盛りで、実戦経験はリュドミラよりはるかに豊富である。それだけでなく、剣や馬の扱いにも長けている。彼らは沈痛な面持ちで、仕えている少女を見つめた。

「何かしら?」

リュドミラは彼らの言いたい事が手に取るように理解しているが、あえて問いかける。

「本当に『銀閃の風姫(シルヴフラウ)』と戦うのですか?その中には我が王国と忠誠を誓った神国であるヴォルン大公とも・・・・」

「そこまで、他国の公爵に義理立てしなければならないのでしょうか?ヴォルン大公は実戦経験豊富だと聞きます、それに弓よりも一撃で鎧ごと撃ち抜く武器を持っていると斥候からの報告で上がっていますが」

彼らの視線を受け止めて、リュドミラは冷厳さを帯びた表情と声音で答える。

「ルリエ家とテナルディエ公爵家との交流は、八十年もの長きに渡る。私の代で断ち切る訳にはいかない、それにヴォルン大公の武器は例え鎧ごと撃ち抜くとしてもオルミュッツ製の鎧なら防御可能よ。安心なさい、それに直接介入するならプトレマイオス軍の部隊が来るはずだから。恐らく今回は支援のために単騎で来たのよ」

リュドミラには誇りがあり、重みもある。エレ
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