第2巻
テナルディエの策略
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激怒していそうだ」
俺は視線をリムを見ると書類の山という視線を外さずに答えた。
「ヴォルン大公、なぜ公爵はこの使者をヴォージュ山脈に向かわせたと思いますか?オージュ子爵は公爵を嫌っています。オルミュッツへの最短距離とはいえ、危険過ぎるのではないでしょうか」
「なかなか考えるが、その予想通りと俺も考えている。この手紙を渡るように仕向けたのだろう、戦姫をぶつけるのは戦姫。全く我ら王が決めた戦姫と竜具同士で争いをさせるとは何て男だ。いつか俺の手で葬りたい程だ」
我ら王=俺だというのはエレンとリムは知っているが、いつ聞かれるか分からないのでこう言ってみた。あの盗賊団がヴォージュ山脈に居座っていたのは、テナルディエ公爵から雇われた者だとしたらどう考える。あのオルミュッツ製の甲冑をどこで調達したか、まあそれについては公爵が用意させたのだろうな。
「ヴォルン大公の言う通りですね、私達が盗賊団を一掃し、テリトアールを味方に付けた事で公爵は方針を変えた。それか最初からだったのかは不明ですが」
「俺的に言うと戦姫同士をぶつける事については最初から考えていたのだろう、それにオードとテリトアールはちょうどプトレマイオスの領土と近い。そこを味方に付ける事も最初から分かっていたのかもしれないな」
「リュドミラのところには、牽制でいいから兵を動かしてくれ。と言う辺りの手紙が届いたのだろうな、付き合いが長ければどの程度の要求ならあいつが応えるか分かっているはずだ」
忌々しげに言うエレン。リュドミラは国境付近に兵を動かし、それを警戒してエレンはライトメリッツから動けなくなる。動くとしても、万が一の事を考えてより多い兵を残すだろう。テナルディエとしては、プトレマイオスという第三勢力を無視してガヌロンと戦う、あるいはエレンが行動の自由を取り戻す前にプトレマイオスを潰す、という選択肢を得られるがどっちもいい手ではない。ガヌロンと戦うのも戦力不足だと思うし、俺達を本気で怒らせるとテナルディエ公爵より先にブリューヌ内乱という火の粉を払うべく。テナルディエとガヌロンという二大派閥を潰してから、ブリューヌ王の復活といきたいところだ。
「今回俺達はライトメリッツ軍とオルミュッツ軍とは戦わない、が、支援くらいは出来る。俺らプトレマイオスはジスタート軍同士での戦には介入できないからだ」
「支援だけでいい、あいつはやる気かもしれん。私が動けば攻めてくるかも・・・・」
「リュドミラ様がエレオノーラ様と戦っても得るモノはありません」
「テナルディエの駒としてどう動くか見物だな、付き合いで得ている利益は守られるが。リュドミラ本人はどこまで重視しているかだな」
エレンは窓の外を見てしばらく考えていたが、やがて小さく息をつくと長剣を壁に戻してから
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