第2巻
ルリエ家の過去話×エレンとリュドミラの因縁
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
オルミュッツは、ジスタート王国の南西部に位置する。北に行けばエレンの治めるライトメリッツに達し、西に十数日歩けばプトレマイオス神国との国境線代わりとも言えるヴォージュ山脈がある。南へ向かって荒野と湖と山を越えればムオジネル王国が見えている。プトレマイオス神国の領土は、ヴォージュ山脈から手前にブリューヌ王国のオードとテリトアールの少し後ろ辺りまでが神国の領土となっている。長い長方形になっているが、その先からはブリューヌ王国なのでブリューヌとジスタートの板挟みにあるのがプトレマイオス神国と言えば理解できるだろう。
二つの国の人間と文化が混在するこの公国の統治者は、リュドミラ=ルリエ。『凍漣の雪姫』とも呼ばれる戦姫だ。今、公宮の執務室で、リュドミラは静かに紅茶を飲んでいた。本来ならジスタート、ブリューヌ、ムオジネルの三つの国に混在していると言いたいが、他国と一切関わらないプトレマイオスが存在してる四つの国。そう言いたいけどブリューヌはプトレマイオスの先なので、ブリューヌ文化はなく同じくプトレマイオス文化もないので、ジスタートとムオジネルの二つの国の文化が混在しているからだ。
先日ライトメリッツから帰ってきた彼女の前には、片付けなければならない仕事が山ほど積まれていたが、先ほどになってようやく一段落ついたようだ。紅茶はリュドミラの好物であり、唯一の趣味と言ってもいいくらい。他者に淹れさせるのではなく、自分で淹れて飲むのが好きのようで紅茶に入れるジャムも手作りのようだ。リュドミラは手を止めて、白磁のカップの中の紅茶を見つめたのか何か思い出したかのように口に出した。
「・・・・そういえば、紅茶をご馳走すると言ったわね」
興味を失せる所か、ますます興味を持った人間でいつでも冷静にいられて味方がやられた時でも、味方を竜に任せてから自分の持つ竜具を手に取り操って見せた男。
「プトレマイオス神国大公をしている、ティグルヴルムド=ヴォルンだったかしら。あの目はまるで謁見の間に登場した創造神様のような目付きだったかしら」
あの目付きに気配が見えているかのように、精密射撃をする男で唯一軽蔑しなかったからよく覚えていた。そして竜を味方にしていたし、神と同じ力を持つ者。空に向けて雨雲だったのを一気に晴らして見せた。あんな芸当が出来るのは、神々の王ペルクナスを命令したかに思えた。神々の王ペルクナスはブリューヌとジスタートで信仰される十神の1柱にしてその筆頭神。太陽と光の神とも称されているから、雨雲から晴らしたのを見てまるで神々の王を命令したかのようにも思えた。そして背中から展開した翼も気になっていた。まるでティグルヴルムド=ヴォルンを人間の皮を被った神様に思えた。
「陛下はプトレマイオス神国を援護や忠誠を誓っていたけど、私
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ