第一章
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
の?」
「だから嫌なのだ」
アスタロトはここまで話したうえでまた述べた。
「日本人に呼ばれるのはな。我々を悪とは思っていないのだからな」
「だったら来なかったらいいのに」
「召還されたら来なくてはいけない」
声がまたしても憮然としたものになった。
「それが悪魔の掟だ。掟に逆らうわけにはいかない」
「じゃあ話を聞いてくれるよね」
榮一はその憮然とした彼に対して尋ねた。
「だから呼んだんだし」
「断るわけにもいかない」
アスタロトの声はさらに不機嫌さを増していた。
「それで何だ?」
そのうえであらためて彼に問うた。
「用件を聞こう」
「実は好きな人がいてね」
「ふむ」
ここでは榮一の話を真面目に聞いていた。
「それで力を貸して欲しいんだ」
「そういう話も苦手ではないが」
アスタロトは恋愛の話を持ち出されてまずはこう述べた。
「だが。より得意な者もいるだろうに」
「シトリとかゴモリーとか?」
「わかっているではないか」
どちらも魔王である。シトリは豹の頭に鳥の翼を持つ男の姿をしておりゴモリーは駱駝に乗った赤毛の美女だ。どちらも恋愛成就を得意分野としている。
「そちらを呼んだ方がいいと思うがな」
「それがね」
ところがここで彼は言うのだった。
「その娘の趣味が変わっていてね」
「日本人そのものが変だがな」
「それでね。彼女が言うんだよ」
ここではアスタロトの言葉は奇麗にスルーしていた。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ