第4話
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
前らにテロを指嗾したのはいったい誰だ?」
冷ややかに見下ろすゲオルグの顔を見上げ、男は首を横に振った。
「・・・なにも、話すことはない」
始めと同じ言葉を返す男であったが、その口調は明らかに弱くなっていた。
「そうかい・・・なら仕方ないな」
ゲオルグは冷ややかな目で男を見下ろしながらため息をつくと、
男に背を向けて通路につながる扉に手を掛けた。
「ここまではやりたくなかったが、仕方がない。 お前の責任だ」
再び吐き捨てるような口調でそう言ったゲオルグは、部屋を出て行った。
部屋に一人残された男は大きく息を吐くと、緊張が解かれたようで
肩を落として脱力し、屈みこむように椅子に腰かけていた。
しばらくすると、どこからともなくカツン、カツンという足音が
男の耳に届く。
男は身を起こして周囲を見回すが、誰もいないことを確認すると
部屋のどこかにあるスピーカからの音であると結論付けた。
(どういうつもりだ?)
なぜそのような音が流されているのか、その意図をはかりかねた男は
粗末な椅子の上で首を傾げる。
その間もずっと続いていた足音であるが、ふいに一旦止むと
ガチャリという扉が開く音がして、さらに数回音は続いた。
そしてもう一度止まった時、彼にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『な、なんだよ! てめえ!』
(これは・・・)
その声の持ち主は男の率いる集団の構成員の一人であった。
『俺が誰かとかお前には関係ねえんだよ』
続いて対照的に落ち着きはらった調子のゲオルグの声が響く。
そのあとには先ほどよりもゆっくりとした歩調の足音が続いた。
5回ほど足音が鳴り響いたところで音がやみ、束の間の静寂が男のいる部屋を包む。
『お、おい・・・なにすんだよ! やめ・・・・・』
その静寂を破ったのは男の部下の声だった。
その声が不自然に途切れた直後、ぐちゅり・・・という音がスピーカーから
男の耳に届いた。
その音に続いて液体が噴き出し滴り落ちる音、何かが床に落ちたような
ドサッという音が響く。
『悪いな。 別にお前に恨みはないんだが、これも仕事なんだよ』
ゲオルグの呟き声を最後にスピーカーからの音はやむ。
それからしばらくして、部屋の扉が開きゲオルグが再び姿を現した。
その服はあちこちが紅く染まり、ブロンドの髪もところどころ赤黒く
変色していた。
ゲオルグのその姿を見た瞬間、男は頭を抱えて身体を折り曲げた。
「お前は、アイツを殺したのか? 私に自白させるためだけに・・・」
「そうだが、それがどうかしたか?」
平然とした口調でゲオルグが答えると、男はゲオルグの顔を見上げて睨みつける。
「貴様は、それ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ