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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第4話
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俺にお鉢が
 回ってきた、というわけですか・・・」

ゲオルグは吐き捨てるようにそう言うと、大きく深いため息をついた。

「申し訳ない、シュミット3佐。 で、お願いできるだろうか?」

尋問班長の3佐が軽く頭を下げてゲオルグに尋ねると、ゲオルグはもう一度
深くため息をついてから頷いた。

「やるしかないでしょうね。 まあ、こんなことなら現地で拷問にかけて
 処理しておいた方がよっぽど楽でしたけど」

尋問班の面々にチクリと皮肉を言ってから、ゲオルグは部屋を出てすぐ隣の
ドアの前に立った。

(ったく・・・。 なんでもかんでも俺にやらせれば済むと思いやがって!)

荒れる内心を表すように目じりを大きく吊り上げて目の前のドアを
睨みつけるゲオルグ。
僅かに頬が紅潮していることからも、かなり頭に血が上っていることが判る。

(いかんいかん。 冷静にやらないとな・・・ふぅ・・・・)

目を閉じると、ゆっくりと鼻から息を吸い、一旦止めて、ゆっくりと口から吐く。
それを何度か繰り返すと、紅潮していたゲオルグの顔に白みが戻ってくる。
そしてその双眸が再び開かれた時、彼の表情からは全ての色が抜け落ちていた。

ゆったりとした手付きでドアを開くと、白い壁に囲まれた部屋に足を踏み入れ、
テーブルの向こうにじっと座る男をじっと見据えた。
背後で小さな音を立ててドアが閉まると、ゆっくりとした足取りで男に向かって
歩みよっていく。

「なあ、おい。 お前、ここがどこか判ってるか?」

ドンと音を立ててテーブルに手を突くと、男に向かってゲオルグは話しかける。

「知ったことか」

ゲオルグの言葉に対して男は目を見開いてゲオルグの顔を見据えると短く答えた。
その答えにゲオルグは僅かに口元を歪める。

「いい根性してるな、お前。 その点だけは評価してやるよ。
 お前の手下もな。 どいつも何も喋らねえ。 まあ、何も知らないだけかも
 しれないけどな」

ゲオルグはそう言うとテーブルから手を離して腰の後で手を組む。
ゲオルグの言葉に男はハッとしたように顔を上げる。

「あいつらは、無事なのか?」

「何人かは現場で死んだけどな。 大半は無事だよ。 今も別室にいる」

「そうか・・・」

仲間が無事であることに安堵したのか、男は僅かに笑みを浮かべる。
一方、事実を知るゲオルグは眉ひとつ動かすことなく男の様子をじっと見ていた。

「でだ。 本題に入るがお前らは誰の指示で動いていたんだ?」

ゲオルグがそう尋ねると、男はうっすら浮かべていた笑みを消し
再び固く目を閉じた。

「話すことは何もない」

「ふむ・・・。それでは俺は困るんだがね」

取りつく島もない男の様子
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