第4話
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たようで
姿勢を正し、改めてゲオルグに話しかける。
「実は、尋問班のほうから3佐に応援要請がありまして。
それでお探ししていたんです」
「尋問班? ってことはこの前のアイツの尋問を手伝えってか?」
「はい。そうです」
その班員がゲオルグの言葉に頷くと、ゲオルグは呆れたとばかりに天井を仰いでから
大きく左右に首を振った。
「ったく。 アイツらは何やってんだよ。 で? どこでやってんだ?」
「はい、ご案内します」
そう言って通路を足早に歩き出した班員の背中を見ながら、ゲオルグは
眉間に深い皺をよせて厳しい表情を浮かべていた。
(どうせ情報取るだけ取ったら処理するだけなのに何を躊躇してんだよ・・・)
ここで本局情報部について簡単に紹介しておくことにする。
本局情報部には情報課と諜報課の2課があり、情報課にはさらに情報班と分析班、
諜報課には工作班・防諜班・尋問班がある。
ゲオルグは工作班の班長であり、情報部が取り仕切る準軍事作戦を担当している。
準軍事作戦というとマイルドな印象であるが、要は管理局にとって都合の悪い
集団に対する強襲・要人暗殺・内部崩壊の誘導といった非公然活動である。
閑話休題。
しばらくして先を行く班員の足が止まり、そこにある扉を開けてゲオルグを
その部屋の中へと誘う。
ゲオルグは班員に軽く頷くと、部屋の中に入った。
そこは薄暗い部屋で、1方に大きな窓が開いていた。
窓の向こうには白い壁に囲まれたもう一つの部屋があり、そこには粗末な机と
それを挟んで向かい合うように置かれた2脚の椅子だけがあった。
そのうち1脚には数日前の作戦でゲオルグたち工作班が捕えたテログループの
リーダーが座らされていた。
彼はすっくと背筋を伸ばし、じっと眼を閉じて身じろぎせずに座っていた。
ゲオルグはその姿をちらっと一瞥したあと、こちら側の部屋に居る人々に
色のない表情の顔を向けた。
「で、まだ何も引き出せてない訳ですか?」
ゲオルグが呆れたような口調でそう言うと、ゲオルグの視線の先にいた
3人の人々は一様に苦虫をかみつぶしたような表情で頷いた。
「口頭での尋問はともかく、頭の中を覗くこともできたのでは?」
ゲオルグはそう言って渋い顔で俯く男たちのうちの一人に目を向ける。
彼は他人の記憶を読み取る特殊技能の持ち主であり、尋問対象が黙秘する場合に
投入される尋問班の切り札的存在である。
だが、その彼をして今回に関してはゲオルグの問いに力なく首を横に振った。
「記憶に魔法的なプロテクトが掛けられていて、それを解除することが
できなかったんです」
「なるほど。 で、口頭での尋問でも口を割らせることができずに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ