第4話
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レーを持ったゲオルグは席を探してぐるっと周りを見渡した。
そのとき、窓際のカウンターテーブル席に見知った背中を見つけ
ゲオルグはそこに向かって歩き出した。
その人物は白い制服に青いタイトスカート、長い茶色の髪をサイドポニーにまとめた
若い女性であった。
ゲオルグはその人物の背後にそっと近づくと、ころ合いを見計らって
サイドポニーを軽くひっぱった。
「んっ!」
突然髪の毛を引かれたその女性は、がくんと首を左に振られ思わず声を上げる。
そして、そんなことをした人物が誰なのかを確認するために振り返り、
予想通りと言わんばかりの呆れたような表情を浮かべた。
「あー、やっぱりゲオルグくんだ。 いいかげん私の髪を引っ張るのやめてよー」
「悪い悪い。 ちょうどひっぱりたくなるとこになのはのサイドポニーがあって
つい、な」
言葉とは裏腹に悪びれることもなくニヤニヤと笑いながらゲオルグは、
サイドポニーの女性−高町なのはに答えを返す。
「そんな理由で引っ張んないでよ、もう!」
なのははゲオルグの謝罪になっているようでなっていない言葉に対して
不服そうに頬を膨らませた。
「悪かったよ。 ところで、隣あいてるか? よかったらいっしょに食べようぜ」
「ふぇ? あ、うん、空いてるよ。 どうぞどうぞ」
邪気のない笑顔をしたゲオルグの言葉に、なのはは毒気を抜かれたのか
笑みを浮かべてゲオルグを招き寄せた。
「んじゃ、失礼して・・・っと」
ゲオルグはなのはの隣の席に腰を下ろすと、なのはの前に置かれたトレーに
目をやって小首を傾げた。
「あれ? 大食いのなのはにしては少ないじゃん。 それで足りるのか?」
ゲオルグがニヤニヤと笑いながらそう言うと、なのははとたんに不機嫌な
表情になって唇を尖らせた。
「わたし、大食いじゃないもん! 今日は午前中はずっと会議で身体を
動かしてないから普通の量を食べてるの。 朝に教導がなかったら
これで十分なの!」
「はいはい。 わかったわかった。 早く食べないと冷めるぞ」
必死になって抗議の声を上げるなのはをなだめすかすゲオルグ。
手なれたその様子から、これがこの2人の日常のやり取りであることが伺える。
その場の空気がようやく落ち着いて来ると、ゲオルグは自分のトレーの上にある
ポークソテーに手をつけながらなのはに向かって再び声をかける。
「こうやって2人で昼飯を食うってのも珍しいよな。いつもはこんなところで
会わないし」
ゲオルグがそう言うのももっともで、この2人が直接顔を合わせるのは1カ月ぶり
だったりする。
1カ月前のそのときも連絡を取り合って休みを合わせて遊びに行った時なので、
この
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