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東方喪戦苦【狂】
二十話 動乱
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い出を…










いつだって一緒に居てくれた。


いつだって守ってくれた。


いつだって慰めてくれた。


いつだって許してくれた。


いつだって支えてくれた。


いつだって優しかった。


いつだって…

























笑顔にさせてくれた。








狂夜は、その紅い眼で涙を流した。






そしてオルゴールのぜんまいが切れると共に神那の笑顔が心に残った。











「好きだった…好きだったんだ……だけど素直に…なれなかった…ごめんな…神那姉さん…」
狂夜は、地面に膝をついて泣いた。







ふと、狂夜の頬に暖かい温もりが触れた。


気づけばそこには神那が優しく微笑んでいた。


――泣かないで。


狂夜は、神那を抱きしめだが、


神那は、水に映る実態の無い物のように朧気にすり抜けた。



その神那は、最後に笑顔を見せて僅かな月の光と共に消えていった。



狂夜は、その微かな神那に笑顔を見せた。





そして月は雲に隠れ、光は無くなった。



狂夜は、立ち上がった。
「…」


月を隠した雲を見ながら。





__________________

「…貴方…まさか…」
狂夜の家の近く。



白夜は、その男を見る。




「…白夜か…」



その男の瞳は、全てを見透かしたように真っ黒で。

その男の声は、穏やかで、恐ろしさがあって。

その男は『オーダー』の幹部。



「…どうしてここに…」


「狂夜は何処だ?」
その男は、圧倒的な悪の大気を放っていた。


名を…

「…ボス!」












「あの方の命令であいつを殺す。新月狂夜を。」








歯車は動き出した。
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