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東方喪戦苦【狂】
二十話 動乱
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狂夜は、神那を担いで来た道へと戻ろうとした。






「待て。」







星花が短く言った。


その一言に狂夜が静止した。



「最後に聞きたい。」


「…なんだ?」
狂夜は、星花の方を振り向かずに答える。


狂夜(おまえ)にとって神那さんは、なんだ?」
星花にとってこれは最後の繋ぎだった。


しかし狂夜は、その質問に対して言った。
















「…さあな。」





星花の中の、狂夜と言う存在が死んだ。


――そうだ。


――所詮私達は、



















――人間なんだ。





――騙して。


――エゴをして。


――息を吸うように他人を傷つけて。




――息を吐くように死んで行く。






――これが本当の新月狂夜と言う男だったのかも知れない。







星花は、思考を放棄した。





そして…







狂夜が目の前から消えた。
_____________________

「…心にも無い事を」

狂夜の家で白夜が狂夜に言った。

「…さあな…」

狂夜は、神那を背負って外を出た。


「ベット…勝手に使っていいから…寝ろよ。」

狂夜は、そう言って暗闇の中に消えていった。


__________________

狂夜は、神那を父親のところまで連れて行き、帰る道中。



神那の事を思い出した。

「…神那…」

狂夜は、神那に育てられたと言っても過言では無い。

狂夜にとって神那は、かけがえのない家族なのだ。



その家族がやられて、狂夜が内心穏やかでいる筈がない。




「…?」
狂夜は、神那の遺品の黒いコートのポケットの中に何かが入っている事に気がついた。



「…なんだこれ?」

狂夜が取り出したそれは、古びたオルゴールだった。


「…これは…」

狂夜は、オルゴールのぜんまいを巻いた。

ギギギギと言う音を立ててぜんまいが回り出す。

やがてそのぜんまいの音がオルゴールの奏でる音楽に呑み込まれる。


狂夜は、そのオルゴールの音楽など耳に入らなかった。


このオルゴールは、小さい頃に狂夜が神那にプレゼントした物だった。



神那は、笑顔でこれを受け取ってくれた。


そしてオルゴールの音楽と共に思い出した。




神那との想
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