二十話 動乱
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狂夜は、神那を担いで来た道へと戻ろうとした。
「待て。」
星花が短く言った。
その一言に狂夜が静止した。
「最後に聞きたい。」
「…なんだ?」
狂夜は、星花の方を振り向かずに答える。
「狂夜にとって神那さんは、なんだ?」
星花にとってこれは最後の繋ぎだった。
しかし狂夜は、その質問に対して言った。
「…さあな。」
星花の中の、狂夜と言う存在が死んだ。
――そうだ。
――所詮私達は、
――人間なんだ。
――騙して。
――エゴをして。
――息を吸うように他人を傷つけて。
――息を吐くように死んで行く。
――これが本当の新月狂夜と言う男だったのかも知れない。
星花は、思考を放棄した。
そして…
狂夜が目の前から消えた。
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「…心にも無い事を」
狂夜の家で白夜が狂夜に言った。
「…さあな…」
狂夜は、神那を背負って外を出た。
「ベット…勝手に使っていいから…寝ろよ。」
狂夜は、そう言って暗闇の中に消えていった。
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狂夜は、神那を父親のところまで連れて行き、帰る道中。
神那の事を思い出した。
「…神那…」
狂夜は、神那に育てられたと言っても過言では無い。
狂夜にとって神那は、かけがえのない家族なのだ。
その家族がやられて、狂夜が内心穏やかでいる筈がない。
「…?」
狂夜は、神那の遺品の黒いコートのポケットの中に何かが入っている事に気がついた。
「…なんだこれ?」
狂夜が取り出したそれは、古びたオルゴールだった。
「…これは…」
狂夜は、オルゴールのぜんまいを巻いた。
ギギギギと言う音を立ててぜんまいが回り出す。
やがてそのぜんまいの音がオルゴールの奏でる音楽に呑み込まれる。
狂夜は、そのオルゴールの音楽など耳に入らなかった。
このオルゴールは、小さい頃に狂夜が神那にプレゼントした物だった。
神那は、笑顔でこれを受け取ってくれた。
そしてオルゴールの音楽と共に思い出した。
神那との想
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