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君にはわからない話をするけれど……
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撃たれたらしい。手に持てる小型の武器とはいえ、元々が海上用の遠距離武器である。この距離ではワタシの腹部くらいは軽々と貫通したようだった。足ががくがくと笑う。北上さん、ワタシは深海棲艦じゃ、ない、よ……。

 ねぇ、じゃま、しないで。ワタシは、司令官に逢いに、来たの。
 ワタシが、ワタシがどれだけ辛い思いをしたか、わかる?
 どんな気持ちで、歩いてきたか、わかる?
 どれだけ痛い思いをしたか、わかるの?

 あなたには、わからない!

 ワタシは北上さんの手から無理やり単装砲を奪い取って、その重さに任せて顔面を殴打した。そして、膝をついた北上さんに砲身を向けて、ぶるぶる震える指に力を込める。既に照準すら合わせることができないが、それでも構わない。許せない。許せない、許せない!ワタシの気持ちも、あの深海棲艦に会えた奇跡も、すべて帳消しにする、北上さんが!許せない!司令官に逢おうとするワタシをジャマする行為が許せない!ワタシは、ワタシは、おかあさんって呼ばれてて、だから、母は強いって、誰かが言っていたから、ワタシは、ワタシは、強いんだから、強いん、だから!だから、許せない奴は殺すんだ!……そして、単装砲の引き金を引く。私が撃たれた時とは別の衝撃が身体を伝わった後、血が飛び散った。北上さんは肩から血を流したままこちらを睨んでいた。どうやら狙いは外れたらしい。

 ワタシは、ふと、大鏡の近くまで来ていたことに気付く。
 そこには北上さんの後姿と、白い髪の、白い服を着た、片足を失った醜い深海棲艦そのものが、単装砲を持って映っていた。

 ワタシがその事実を飲み込んだのとほとんど同じタイミングで、銃声を聞いて慌てて飛び出してきた司令官は、ワタシの姿を見て鎮守府内の艦娘に攻撃の合図を出した。ワタシには、それだけで、もう、十分だった。
 ワタシは、もう、迷惑なのね。
 ワタシが、もう、撫でられることはないのね。
 どれだけ泣いたって、ワタシの声は、届かないのね……。
 暗くって、冷たくって、心がおかしくなりそうな場所。
 ここが、深海か――。
 今度こそ、ワタシは実感した。
 ワタシがいれば、司令官に迷惑がかかる。だから、司令官……聞こえなくてもいいから、最後に、ひとつだけ、言わせて。

 雷は、あなたを、愛しています。誰よりも、だれよりも、あいしています。めいわくかけて、ごめんなさい。

 ワタシは北上さんから奪った単装砲を、口を開けて、ちょうど喉の奥に砲身が当たった時に、引き金を――引いた。
 ほんの少しだけ、身体が軽くなったような気がした。

 4

 私は、倒れた私の身体を見下ろしていた。
 臨死体験、というわけではないだろう。現に私の身体はどこの部位をとっても決定的に破損していた。首と言わず、肩と言わず、
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