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ひぐらしのなく頃に 逢
夢壊し編
第壱話 追憶
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。入れ替わろう、と。僕たちはとても良く似ているんだから服を取り替えればバレないって。
 俺は浅葱が傷つくのが嫌だった。俺を唯一認めてくれる存在だったからだ。俺はその旨を浅葱に伝えた。それは僕も同じだよ。藍が傷つくのが嫌なんだ。浅葱はそう言って服を着替え始めた。
 その作戦はうまくいった。浅葱が藍だと思い込んだ母は浅葱をベランダに放り出した。背中をバシバシ叩かれている。
「あさぎ...にげて...あさぎ...」
 彼は涙目になりながら俺に訴えた。
 
 そしてあの日が訪れる。
 今も警察はあの事件の犯人を捕まえてはいない。犯人の目星さえもついてはいないと遺族である俺は聞かされた。
 警察は知らないが俺はあの事件の犯人をよく知っている。
 浅葱だ。母さえいなければ浅葱も藍も苦しまなくて済む。だから母を殺したのだ。それから浅葱はすべてを偽装するため俺を切りつけ、自身の体にも傷をつけた。それが全てだ。
 そして、俺と浅葱は離ればなれになった。お互いに施設にあずけられることになったのだが場所は同じではなかった。
 ただ一人、俺を心から大切に思っていた兄―浅葱との生活が終わった
 
 終わりは始まり。そう言う言葉をよく耳にする。だが、それを実際どうかと考えたときに、俺は鍵が必要だと思った。
 終わってしまった世界を解き放つ鍵。それは人によって異なる。金だったり、恋人だったり、閃きだったりする。
 それは自分が待っているだけでも来るときは来る。そう信じて施設での生活を送った。
 俺はその鍵を見つけられる機会を待った。
 そしてあれから5年後。
 消息不明だった父が、死んだそうだ。
 遺書が見つかった。それには、自分は藍と浅葱の父親だということ、事件のことはニュースで知ったと、身寄りがなくなり施設に入っているのなら、自分の実家で自分の生命保険で降りたお金で生活して欲しいということが書いてあった。
 俺は施設を出た。ここでの生活に対して限界を感じていたのである。
 だが何よりも、絶望という俺の世界を変えるための鍵が見つかるかも知れない。 
 その見つかるかも知れない鍵、それは浅葱だ。
 彼も施設に入っている。そこでの環境も満足はできていないはず。ならば、父の実家に来るだろう。
 その希望が、俺をここまで進ませた。
 窓の外に目をやる。都会とは打って変わって緑が多く、田畑が広がっている。所々に農作業している人の姿も見られるが、人の少なさに驚いた。
 だがむしろこれは好都合だと思う。人付き合いは苦手だから。
 荷物という荷物がなかった俺はおやじの保険でりたお金で手頃なバックを買いそれに物を詰めてきた。なので、引越しという割には軽いものだ。
 一応、家電製品は向こうに揃っているみたいだから心配はしていない。もし、浅葱が来なくて
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