第二章 彼と彼女の事情
第十五話 未来への扉、過去への誘い(いざない)
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は明日を、紡ぐことが出来ると思った。
それは私の身勝手で、ただ感傷的な考えであっただけなのではなかったろうか。
しかしそれでもその考えを実現させたくて、私は千早さんにこの場所に呼び出して作戦立案の協力を要請したし、浅井を初めとしたBクラスにも離反の要請をした。
作戦の中核に千早さんを祭り上げたのは、戦後のBC間での処理が二クラス間だけでは滞るであろうと思い、彼女を祭り上げることで事なきを得ようとしたからだ。
たぶんその判断は間違いじゃなかっただろう。
けれども、千早さんを祭り上げたことがこの作戦を潰したくないと、自分を縛り付ける結果になったのではないだろうか。
因みに北欧神話を引っ張りだしたのは最近読んだ本に影響されたというのと、北欧というので妃宮さんを想起するし、ついでに妃宮さんと近くで話をする機会が増えればという、ミーハーチックな考えもあったことは認める。
明日からの身の振り方も考えなきゃいけないことだろうな。
ってどうなるのかだなんて、そんなことは決まりきっている。
そういうことをして、証拠まで握られるような女だと周囲から奇異な目線と、『あぁ小山さんってこれを隠したかったんだ』といった同情の目線を半々に浴びながら生活しないといけないのだろう。
学校という閉塞された空間に、こんな話はあっと言う間に広まってしまうだろう。
和室の扉が唐突にノックされ、私は驚きの余り飛び上がりそうになった。
一体誰が……
「友香さん、こちらにいらっしゃるのですか?」
外から投げかけられるあの人の声に、私は何も応えられずにいると、扉がばたんと音を立てた。
「鍵が……」
誰もいないのよ、和室の中には誰も居ないんだってば。
だから、妃宮さん、お願いだから見逃してよ。
「………私は友香さんに謝らないといけません。絶対に…」
千早さん……
貴女に謝られることなんて無い。
貴女が気に病むことなんて無い。
だから、もう私に構わないで欲しい。
千早さんの声がしてから一体どれぐらい経っただろう
さすがに千早さんも帰ってしまっているとは思う。
学校全体の授業が終わった時には少し騒がしかった廊下側も、今では静寂に包まれ閑散としていることだろう。
私は未だにじっと正座し続けていた。
再び腕もとに目線を落として時計を確認すると最終下校時刻まで残り幾ばくかしかないのが知らされる。
よくもこんなところに一人で長々と籠もっていたものだと我ながら感心してしまった。
こんな時間だ、試召戦争の事後処理もどんなに遅くとも終わっただろうし、級友たちの大半もすでに帰っているだろう。
そろそろ私も帰ろう、いつまでもここに居たって学校から脱出できないのだから意味などない。
校舎から外に
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