暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
第55話 Party-go-round
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言って猫っぽいポーズをとり、ファンサービスをしながら舞台袖へと戻ってきた。

「おかえり、アイドルたん」

「や、やめてくださいよ里香さん! すっごく恥ずかしかったんですから……」

「はーいはい、お疲れ様ね。次はアスナのソロだっけ?」

 ふと明日奈に目をやると、彼女は手に"人"という文字を書いてはぱくっと食べるような仕草をする、という定番のおまじないを自分にかけていた。

「……アスナさん」

「……はっ!? な、何よ。わたしだって、緊張くらいするんだから……」

 あたしが呼ぶと、耳まで赤らめた明日奈が必死に抗議した。生徒会として人前に立つことの多い明日奈だが、実は毎回緊張していたのだろうか。どこのドラマのツンデレヒロインだ。

「アスナ……肩の力、抜いて」

「い、言われなくても分かってるわよ……はい、行ってくる」

 そう言った明日奈が一息つき終わった頃には、彼女の顔からはすっかり緊張の色が消えていた。
 和人の方を向き、凛々しく微笑む。

「キリトくん……わたし、頑張るから。見ててね」

「ああ、勿論だ。ずっと見てるよ」

 和人の言葉に満足したらしい明日奈は、一瞬だけへにゃりと微笑んだ。


* * *


 音楽が鳴り終わる。
 持ち前の透明感ある声で、ソロ曲《White flower garden》を歌い終えた明日奈が、恋人である和人の方を向いて、頑張ったよ! とでも言いたげに子供のように微笑む。
 あたしの目から、再び涙がこぼれ落ちた。


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