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シスター
第一章
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「ええ、出来れば」
 彼は答えた。
「そうなりたいとは思っています」
「うんうん、それはいいことです」
 指導官の先生はそれを聞いて満足そうに頷いた。
「ではそうなられるのを楽しみにしていますよ」
「はい」
 幾分か社交辞令が入っていたがそれでも修治の実習が高評価なのは事実だった。彼は寝る暇も惜しんで勉強し、そうした評価を掴んでいたのだ。そんな彼を学生達が慕うのも当然であった。
「先生」
 授業を終えて廊下を歩いている彼にそんな学生の中でもとりわけ小柄で可愛らしい女の子が声をかけてきた。栗脇華子という。
「何かな」
「わからないところがあるんですけれど」
「?何処かな」
 彼はそれに快く応えて自分が手に持っている教科書を開く。教師として合格と言える対応であった。無能で怠慢な教師ならばここで自分でやれ、という。そうした輩はそもそも教師になること自体が間違いであるが。
「ここです」
 華子はその小さい身体を必死に伸ばし自分の教科書を開いて尋ねる。見ればその教科書は重要な部分の所々に赤いペンでマークがされていた。真面目な生徒であるのがわかる。
「ここが。よくわからないんですけれど」
「ああ、そこはね」
 修治がそれを教える。丁度彼のよく知っている部分だったので教えること自体はスムーズにいった。
「これでわかったかな」
「はい」
 華子は清らかな声で返事をした。
「有り難うございます」
「よし。それじゃあね」 
 修治は別れようとする。だがそんな彼を華子はまた呼び止めた。
「あの、待って下さい」
「?まだ何かあるの?」
「はい、少し」
 急に華子の様子がおかしくなった。
「あの、実は」
 華子はもじもじしながら言った。
「廊下じゃ何ですから放課後に」
「放課後に?」
「学校の教会まで来て頂けないでしょうか」
「ああ、いいよ」
 修治は特に考えることなくそれに応えた。
「それじゃ放課後にね。中等部の教会で」
「はい、お願いします」
 華子はそれを聞いてすぐに修治の側から姿を消した。修治はそんな華子の様子を見て妙な感触を覚えていた。だが今は次の授業のことについて考えなければならず、注意はそちらに向けられた。華子について考えられるようになるのはとりあえずは放課後まで待たなければならなかった。
 そして放課後になった。修治は次の日の用意を済ませた後で中等部の教会に向かった。向かいながらあれこれと考えていた。
「一体何なんだろう」
 彼女が何ついて相談したいのか。まず考えた。
「勉強のことじゃないみたいだし」
 それはもう廊下で終わっていた。
「生活のことかな?けれどそれは」
 その為に担任がいる。もっともそういったことを話すのに値しない教師も中にはいるが。
「違うよなあ。じゃあ一体
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