デスゲームの幕開け
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「はぁぁぁっ!!」
俺の渾身の一撃が《フレンジー?ボア》を青いポリゴンに
変化させた。
俺はいま、青い服を着た男を追いかけている。
あいつはこの先に重要なことを知っていると感じたからだ。
時間は遡る(約30分前)
突如としてスタート地点の《はじまりの街》
に強制転移された俺達は、そこでこの世界の本当に姿を知った。
誰かが叫んだ。
「お、おい、ログアウト出来ねぇぞ」
「わ、私も…。」
次々同じ状態のプレイヤーが現れる。
俺も試したが、その一人だった、いやこの場の全員だった。
「ふざけんな、GM出てこい!」という
怒りの混じった声も上がり始めた時だった。
男の低く落ち着いた声が、はじまりの街に響いた。
『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』
この言葉がSAOの…、いやデスゲームの開始合図だった…。
身長二十メートルはあろうかという
巨大な真紅のフード付きローブをまとったアバターだ。
しかし、そこから聞こえる声は
いまや、現実世界でゲームをするものなら
知っていて当然の人物だった。
その名は《茅場晶彦》。
アーガスを最大手と呼ばれるまでに成長した原動力となった、
若き天才ゲームデザイナーにして量子物理学者だ。
彼はこのSAOの開発ディレクターであると同時に
ナーヴギアそのものの基礎設計者でもあるはずだ。
(だけど、何故彼がアナウンスを?)
と脳内に疑問がよぎる。その疑問はすぐに消えた…、
いや、忘れてしまったのだろう。
『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、《ソードアートオンライン》本来の仕様である』
「し、仕様…だと。」
アナウンスは続く
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
俺は、すぐに理解出来なかったが、次の言葉で意味が分かった。
『……また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合─」
わずかな間、重苦しい静寂が訪れる。
『─ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生活活動を停止させる』
俺は、動かない頭を、精一杯働かせた。
「つまり、殺すってことか……?」
ここで、疑問が生まれた。
だけど、大容量のバッテリーでも内蔵されてない限り……
!?……、いや、ギアの重さの三割はバッテリセルだった。
俺の心境を察したように、アナウンスが続く。
『─残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』
どこかで、細い悲鳴が上がった。
だが、俺はこれはオープニングではないか?
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