間章:リアルside
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ない。でも、私はこのまま座して待つなんて嫌。燐に守ってもらうだけじゃなくて、互いに支え合う関係になる。私はたとえ役に立たない結果になるとしても、出来うる限りのことをしたい。だから、お願い。力を貸して欲しい」
これでダメなら菊岡さんにでもしつこく追及しなければいけないかもしれない。もちろん、話してはくれないだろう。
「……しののんは強いね」
「ううん。私は弱いよ。だって私は弱いから、こうやって行動して証明しないとね」
自嘲げに笑う。燐を信じて待つ、という選択肢を選べない自分に。
すると明日奈は儚げな微笑みから一転、悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべた。
……あ、マズイ。
「しののんは何を証明するの?」
「え、えっと明日奈?さっきまでのシリアス(深刻)な空気はどこに?」
ちょっと待って。空気の急激な変化についていけないから。
「んー……なんかね。しののんを見てると落ち込んでるのがバカらしくなっちゃって」
「そう……それはよかったね」
退避しよう。私の中のシノンが危険サインを出しているし。
そう考えて急いで席を立とうとすると、机を挟んで対面に座っていた明日奈が私の肩を掴んで、立ち上がれないようにしてきた。
その速さはアスナの\'閃光\'の二つ名を感じさせ、私は一切反応出来ず、浮かしかけた腰をもう一度椅子に落とすことになった。
……今の明日奈の表情には心当たりがある。あの表情は獲物を見つけた捕食者の目だ。
「で、何を?」
「……言わないとダメ?」
「うん、ダメ。言わないと協力してあげないよ?」
表情は悪戯っ子のように笑ってる。多分、ただの冗談なんだろうけどそんなこと言われたら私に選択肢は存在しない。
「……それは卑怯……」
「ふふっ、ゴメンね?でもしののんの恥ずかしがっている姿が可愛くって」
語尾に音符マークが付きそうなほどに上機嫌な明日奈。……できるなら撃ちたい。
「……ぅ……」
そしていざ言うとなると途方もなく恥ずかしい。さらっと自分の気持ちを言える燐を凄いと思ってしまう。
今、私の顔は真っ赤だろう。燐が居たらからかわれるくらい。
「ほらほら」
笑顔で促してくる明日奈。
私は恥ずかしさで鈍る口を必死で動かして、半ば自棄になりながら叫んだ。
「燐の彼女だってこと!!……ぁ……」
……場所のことも考えず。
私たちが居るのは駅前にあるカフェで学生も多く結構混んでいたのだ。そんな場所で叫べば周囲の視線を集めるのも自明の理。
そもそもそんなに視線が集まることに強くない私は、逃げるように机に突っ伏した。
「……明日奈のバカ……」
「あははは……なんかゴメンね……」
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