DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十六話
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「ぐぉぉッ!?」
身を切り裂かれる鋭い痛みに、ラーヴェイが叫び声を上げる。その声を聴きながら、コクトは冷や汗を流していた。
ノイゾによって召喚された《未来のカズ》。その実力は異常に高かった。
まず、コクトから受け継いだと思われる卓越した武術。未来のコクトがどのような人物になっているのかは分からないが、少なくともこのカズは今のコクトに迫る、あるいはすでに追い越している域にすらその実力がある。
つぎに、ラーヴェイから受け継いだのだろう、その《ギア》裁き。大型ギアは操るのに手間がかかる。ラーヴェイのようなゴーレム型なら、自らの意識を基本持たないか、主の命令に絶対忠誠をほこるため、それでも少しは楽だろうが、カズのそれは恐らく完全な自立知能を持ったタイプの《ギア》だ。
カズの指示に忠実に動くので、最初はドラゴン型のゴーレムなのかと思っていたが、実際は本物のドラゴンなのだ、ということが分かったのはつい先ほどである。つまりは主の命令に背く可能性が捨てきれない。
だがカズの操る巨龍は、彼の意思に一度も逆らうことなく、戦場をカズに有利になるようにコントロールしていた。
《ジークフリード》。刃のような……否、刃そのものである鋭利な鱗を持ったこのドラゴン型の《ギア》は、斬撃攻撃だけでなく、突進によってこちらに刀傷をつけてくるし、さらにはブレスまで使いこなす鬼畜仕様となっていた。
しかもそのブレスは毒属性を付与されたブレス。喰らえば喰らうほどに毒がたまり、長期戦が難しくなる。麻痺毒、ダメージ毒、エトセトラ、エトセトラ。毒ブレスの成分は、恐らく全クラス中トップの多様さだ。
それだけではない。
《ジークフリード》のブレスは、毒ブレスだけでなく、通常のファイアブレスまで有るのだ。おまけに先ほどから何度か魔術を行使しているのまで見た。
《六門世界》において、竜種というのは六門神に次ぐ最強の種族である。特に六門神と同格以上の実力をもったドラゴンは、名実ともに世界最強の存在となる。伝承によれば、初代闇の《六王神》は竜種の血を受け継ぐ存在だったらしい。
その竜種を最強種足らしめているのは、彼らの持つ《全属性完全適正》に起因する。
通常、六門魔術は火、水、土、風、闇、光の六属性に分けられる。それは六門魔術の上位存在であり、もはやこの世界から消え去った《魔法》であれど同じだ。
この世界ではあらゆる魔法系術技は《魔術》と呼ばれ…コクトは知らないが、シウネーら外来の存在が使用した他ゲームの《魔法》も、この世界では《魔術》レベルの術技として扱われる…すべて魔法が劣化した存在であるとされている。これは世界が《流転》と呼ばれる、いわば《転生》を果たす毎に魔力を喪失していくため、と言われて
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