死の魔弾
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目とシオンの紅と蒼の目が交錯する。二人の間の空気が不気味なまでに静かになる。
「では、二つ目、お前の正体について話そう。お前の手首に刻まれた小さなタトゥー、あれは《笑う棺桶》のものだ。そして、お前ほどの実力者となれば幹部クラスと見受けられる。次に二人目だ、これだけ緻密な計画を立てるんだ、少なくとも信頼における人物を当てているはずだ。そして医療知識もあり、薬物を簡単に手に入れられる境遇にある者、そして何かしらの野望がある者と見受けられる。友人、いや家族だな、たぶん弟だ。その弟に薬の調達を依頼、そしてもう一人の死銃を演じさせた。今回はお前だが、交互に入れ替わりながら死銃を演出し、そしてもう一人の方は標的であるプレイヤーの自宅に侵入、薬物を注射した。標的は現実世界の家で玄関に初期型の電子錠を取り扱っているプレイヤー、事実《ゼクシード》も《薄塩たらこ》も家は古いアパートだ。ダイブ中は完全に無意識状態だから多少手間取っても問題はない。事前に注射する時刻を決めてそれよりも前に侵入すればこの計画は成立。時間の帳尻を合わせるためにカモフラージュとして胸の前で十字を切った、現在の時刻を確認することも含めてな。違うか・・・?」
「・・・・・」
「《コールドリーディング》・・・。これは以前、いや、ずいぶん昔にお前にやられたものだ。生憎、俺はやられたら根にもつタイプでね・・・」
「お前、やはり・・・」
シオンは口角を引き上げると死銃に言った。
「お前に選択肢をやる。1、ここから大人しく手を引く。2、今すぐここで俺を殺すか。どっちがいい?」
シオンは表情を崩さず平常を保つ。数秒の沈黙の後、死銃は仮面の中の口を開いた。
「次は、無いと、思え・・・」
そう言い残して死銃はその場から光学迷彩で姿を消した。気配が遠ざかるのを感じた後、シオンは銃をしまった。
『次は無い、か・・・』
シオンはあの金属製の仮面から発せられる紅い目から死銃の殺気を感じ取っていた。あの殺気は間違いなく俺を殺そうとした殺気だった。
「シオン!」
アリアと合流するとキリトたちを追うべく近くのバギーに乗った。
「ねぇ、シオン。死銃が仕掛けてこないってこと分かってたの?」
「いや、正直引いてほしかったのが本心だ。いくらお前が控えていたとしてもあいつを倒すのは正直骨が折れる」
「やっぱり、死銃は・・・」
「ああ、ヤツは・・・」
シオンはスピードを上げ、都市廃墟を一気に抜けていき砂漠地帯へと向かうのであった───
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