死の魔弾
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は私に見せた。
円の中に、黒い星。
黒星五四式。───あの銃。
五年前、私の人生全てが変わったしまったあの銃がなんでここに・・・!?
手からこぼれ落ちるMP7、しかし私はその音すら聞こえなかった。
感覚がどんどん闇へと落ちていく、残っているのは二つの紅い目と一つの銃口だけだった。
死銃が引き金を振り絞ろうとした時、私の中には五年前の事件とは別の光景が浮かんだ。それは同じく五年前、私が虐められていた時に助けてくれたあの人の背中───
私はその人に憧れて強くあろうと思った。
しかし、それはできなかった。
その様がこれである、本当になさけない───
『どうせ来ないのは分かってる、でも・・・』
でも、あえて願いたい。私をもう一度救ってほしい!
『だから、助けて!!』
「さあ・・・キリト、見せてみろ。お前の怒りを、殺意を狂気の剣を、もう一度、見せてみろ」
死銃がシノンの心臓に照準をあわせる。そしてその引き金を───
「・・・させるかよ!!」
「ッ!」
「おらぁッ!!」
しかしそれは空から降ってきた一閃の光によって阻まれた。死銃はそれを身を反るようにしてかわすと、後方にステップした。
『一体、なにが・・・?』
私が我に帰ると同時に、目の前に一人のプレイヤーが舞い降りた。
身に纏った灰色のコート、両手に握られたコルトガバメントとM945の銃、そしてその人物を象徴するかのような白い髪。
地面に刺さった光剣を抜くとその人は私に呟いた。
「無事か、シノン?」
「シ、オン?」
「貴様、また・・・」
「よう死銃、もといSteven。いや、こう呼ぶべきか?」
シオンは銃口を死銃に向けて言った。
「Sterben・・・。それがお前の今大会での名前だ」
「なぜ、分かった」
「おかしいと思ったんだ。シノンが言っていた知らない三人の中でお前の《Sterben》にだけ違和感があった。スティーブンにしたいなら普通は《Steven》だからな」
「・・・・・」
「まあ、ここまでは“妄想”、“推測”、“仮定”、どれをとっても構わん。問題はその《Sterben》という単語の意味なんだからな」
「意味?」
私はシオンの言っていることが理解できなかった。
シオンは更に続ける。
「シノン、お前はドイツ語に関してはどのくらい知っている?」
「あいさつ程度なら・・・」
「《Sterben》、これはドイツ語で《死》を意味する単語なんだ」
「死・・
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ