26話 ≪4つの鏡≫
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別れを告げずに立ち去ろうとするサラマンダーだが、去り際に赤マント姿の人物にだけ聴こえるように言葉を残す。
「……あんたも余計な奴らと行動するより、独りで"自らの真偽"とやらを確かめたらどうだ。その方が、気楽なもんだぜ」
「 ────── 」
「あ……行っちゃったよジタン、いいの?」
「これ以上あいつの生き方に口出しても、しょうがないだろ」
怪訝そうなビビに、溜め息混じりで答えるジタン。
「……行動を共にした日々があろうと、いつしか別れの時は来るものじゃ」
「んもぅ、サラマンダーの分らず屋っ……!!」
彼が去った後をどこか寂し気に見つめるフライヤと、もどかしい気持ちでいっぱいのエーコ。
「とにかく、この部屋を調べてみるか。オレは壁画にある鏡みたいなのを見てみるよ」
「じゃあエーコは、光ってる床を調べてみるね!……ほら、あんたもそーするのよっ」
「え? あ、うん……」
「では、私は周囲を調べてみよう」
エーコとビビは光の筋が煌々としている床にしゃがみ込み、フライヤは壁画の間の周囲に目を向ける。
「 ────なぁマゥスン、オレと一緒に壁画の方見てみないか?」
ジタンに声を掛けられ、歩み寄って見ると壁画はどうやら世界地図らしく、円形の4つの曇った鏡はそれぞれ四方に異なった場所を示すように配置され、そこから光の筋が部屋の中央の床に張り巡っていた。
「これって外れるのか……? よっと、お? 簡単に取れたぜ!」
右手前の、黄色い縁取りの鏡を手に取るジタン。
「……ん? 鏡の縁に何か書いてあるな。"我が力は、揺れ動く地の底にて守られる"────どういう意味だろう。この壁画の世界地図に鏡で示されている場所の事、なのか?? マゥスンは、どう思う?」
「 ………… 」
意見を求めるも、当のマゥスンは左手前の紅い縁取りの鏡を手にし、それを凝視したまま微動だにしていない。
「どうしたんだ? もしかして……マゥスンにも鏡の縁に書いてある文字が、読めるのか?」
「 ────"我が力は、高き山の熱き場所にて守られる"」
静かにそう口にしたマゥスンに、ジタンは少し驚いた。
「やっぱりそうか! オレにしか読めない文字なのかと思ってたけど、マゥスンにも読めるんだな?」
「……ねぇジタン! 床の光の筋が二本消えたわっ」
「ジタンとマゥスンが、壁画の二つの鏡を取ったからかな……?」
床を調べていたエーコとビビがそれに気付き、ジタンはマゥスン以外の3人に鏡を見せてみる。
「なぁ、この鏡の縁の文字みたいなの、読めるか?」
「えぇ〜? これってウイユヴェールって場所で見た、ジタンにしか読めない文字じゃないの
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