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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
序章
04話 邂逅
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組みをそのまま利用し輸血効果も狙ったという事だ。
そしてその節約された血液は他の人間へと回され命を救うだろう。
「しかし、俺の状態はもう安定したのだろ?ならばこれ以上彼女に負担をかける必要なんぞない筈だ。」
右手と右足を失ったとはいえ、彼女と自分の体重差はかなりのモノのはずだ。
そもそも人二人分の体に一つの心臓で血液を送るのだ……血圧を上げねばならず、そのため彼女にはかなり強めの強心剤も打たれている筈。
口にする言葉が少ないのは強心剤による頭痛が酷いからかもしれない。
「あら、素直じゃないのね。……どちらにしても免疫抑制剤の効果が切れるまで彼女はこの部屋から出られないし―――それにね、貴方の心臓はダメージを受けているわ。補助人工心臓を取り付けなければいけないのだけど人工心肺はさっき言った通り全部使用中。
彼女とあなたを切り離したらあなたはそれまで持たない―――おとなしくしているべきね。彼女とあなたの身を思うのなら。」
―ー医者という人間はどうにも苦手だ。
特に軍医となると経験が恐ろしいほど豊富な場合が最近では多い、そうなると簡単にこちらの心を見透かしてくる。
恐らく兵士以上に洞察力を必要とされる職業だからだろう。
「安心してください。」
己の言葉を否定する言葉が少女の口から洩れた。心電計測の為の電極とチューブを取り付けるために裸に剥かれている少女の声は何処か事務的で静かだ。
「私は志願してこうしています。リスクは覚悟の上です、たとえここで死に九段に召し上げられまいと後悔はありません―――それに、その時は独りではないですから。」
「……ずいぶんと一方的な運命共同体だ。が、こうまでされたのでは物も言えん。」
まったく、管を入れるだけ―――とはいえ嫁入り前の娘が体に傷をつけて。
「それに、貴方は私にとっての恩人なのですこれぐらいでないと釣りに合いません。」
「その覚えはないんだがな……其方が良いというのなら良しとしよう。」
「はい、そうしてください。」
既知感、彼女の言葉。その響きがどこか、とても遠く懐かしいものに聞こえた。
「じゃあ、お二人仲よくね。明日には補助人工心臓が届くからその取り付けまでだから―――二人ともそろそろ麻酔を掛けるわよ。起きてると彼女の心臓に負担が大きいしね。」
「ああ、分かった。―――だが、最後に一つだけ、彼女に聞きたいことがある。」
「私、ですか……?」
女医の言葉に頷きつつ、口にしたその言葉に少女が軽い驚きを覚えているようだった。
「ああ―――君の、名を教えてくれ。」
「私の名前……篁、篁唯依です。」
篁、以前の上司がそんな名前だった。ならば彼女はその所縁の人物か。
しかし、唯依―――
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