第二章
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「うん。こっちも帽子が飛ばされるかと思ったよ」
「よかった。光弘君の帽子が無事で」
「よかったって」
光弘はこの言葉にかえって困惑してしまった。
「困ったのはそっちじゃないか」
「平気よ、よくあることだから」
眼鏡のゴミも取っていた。手入れをしながら言う。
「冬なんだから。慣れてるの」
「はあ」
「だから安心して。眼鏡も綺麗になったし」
ここで真紀は光弘に対して横を向いていた。
「ゴミもなくなったし」
光弘はその横顔を見て思わず呆然となった。彼が今までに見たことのない真紀がそこにいたからだ。
その真紀はそれまでの真紀ではなかった。髪をまだ微かに吹いている風にたなびかせ、すっきりとした横顔をしていた。眼鏡をかけないその顔は意外な程大人びていて、美しかった。
「・・・・・・・・・」
その横顔を見て言葉を失う。真紀はそんな彼に気付いた。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと」
その言葉に我に返る。
「何でもないよ」
それはこう言って誤魔化した。
「けれどさ」
そのうえで言う。
「何?」
「今眼鏡かけてるよね」
「ええ」
「眼鏡じゃなくて。コンタクトにしたらどうかな。これから」
「どうして?」
「ちょっとね」
光弘は口ごもりながら答える。
「そっちの方が似合うと思って
「そうなの」
「うん」
光弘は答えながら真紀の方にやって来た。そしてその小さな肩を抱く。
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