14話:少女の味方スパイダーマッ!
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にもできる。
(狙うのは足…)
外したら終わりだと思った方がいい。再装填している余裕などないし、自分の位置まで知らせてしまうことになる。
幸いなことに、現在の灰原と三つ編みの女の位置は結構離れており、灰原は廊下へ続く壁に隠れていて三つ編の女からは死角だ。ただし玄関は三つ編みの女の方が近いところにいる。
三つ編みの女の目線が外れているうちに灰原はボウガンを構えて狙いをつける。
半秒。
定めた灰原はボウガンの引き金を引いた。
ガキン、と。そんな感じの音がした。
三つ編みの女は手に持っていた脇差しでボウガンの矢を弾いていた。
「あぶねーな。やっぱり隠れてやがったか」
三つ編みの女はゆっくりと灰原のいる方に近づいてくる。
「さっきの矢、ボウガンのものか? 角度から身長を判断するとお前はガキか。運がなかったな」
三つ編みの女はついに灰原を見つけた。互いの距離は一メートルも無いほど近く、三つ編みの女はすぐにでも灰原を殺すことができる。
しかし、それは灰原がただの小学生で、何も備えてなかった場合である。身体のスペックは三つ編みの女の方が圧倒的に上だが精神面では灰原の方が年上だった。
三つ編みの女が灰原を見たとき、灰原は手に瓶を持っていた。
まさか、と思うより前に灰原は瓶を三つ編みの女に向かって投げつけていた。
反射的に脇差しを振るい、瓶を砕いた。中身は、塩酸だった。
「しまっ、クソ!」
腕で顔を守る。
その間に灰原はデイパックを持って駆け出し、玄関から外に出た。
後ろからは三つ編みの女が待てと叫んで追いかけてきている。
道路をひたすらに走る。
どこかに隠れられる場所はないかと必死に目を凝らすが入れそうなところはない。仮に見つけて入れたとしても三つ編みの女に追い付かれて終わりだろう。
この状況を打破できる策はまったく思い浮かばない。やがて灰原の呼吸が乱れ、体力の底が見えてきた。小学一年生の身体で長く走り続けることなどできるわけがない。
「はぁっ、は……あ、っく」
止まったら死ぬ。わかっていてもどんどんスピードを落としていく自身の身体を恨まずにはいられなかった。手元にはアポトキシン4869の解毒剤があったのに使えなかったことがさらに灰原の自責を加速させた。
(江戸川くん……)
後ろを振り向いた灰原。その表情を見て何を思ったのか三つ編みの女は大きな笑い声を上げた。
「ギャハハ、ギャッハッハッハッハ!!」
三つ編みの女が長い舌を出して眼鏡の奥で大きく目を見開き、自分を仕留めようと走って近づいてきているのを見ながら灰原はその場に倒れこんでしまった。
(江戸川くん、あなたならどうしたのかしらね…)
自身の激しい呼吸で熱くなった身
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