14話:少女の味方スパイダーマッ!
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灰原哀、本名宮野志保は見慣れた阿笠博士の家に転送された。向かいには工藤邸もある。
いきなり殺し合いをしろと言われても小学一年生の身体でできることなどたかが知れている。第一殺し合いに乗る気など灰原にはまるでない。
自分の住んでいる家の構造は知り尽くしているため、研究所のような場所でもある阿笠家から使えそうなものを持ち出すのに時間はかからなかった。身体が小さいために持っていける量が必然的に少なくなるのが痛いが。
とりあえずは塩酸や硫酸などの強酸類。小さめの果物ナイフ。必要最低限の携帯食料等々。それに、アポトキシン4869の解毒剤をリュックに詰め込んだ。
まあ、解毒剤は正確には解毒剤の試作品とでも言うべきだが。一時的とはいえ大人の身体に戻ることができるのは殺し合いではかなり役に立つはずだ。幸いなことにここにはジンやウォッカなど黒の組織の関係者はいない。
灰原は荷物をまとめた後はしばらく動かないでいた。
それは外に出ることが危険に思えたからだ。
殺し合いに乗った者にとって抵抗力の低い子供など格好の獲物だろうし、動かなくと江戸川コナン、本名工藤新一が探しに来てくれると考えたからでもある。
工藤新一は灰原とは違って行動力があり、身体能力も子供とは思えないほどずば抜けている。自分の実家が地図に載っているのを見たらすぐに確かめに来るはずだ。
しかし。
(不味いわね…)
家の中に灰原の知らない第三者、しかもどうやら殺し合いに乗っている様子の女が入ってきた。三つ編みを二つぶら下げ、セーラー服を着て眼鏡をかけた文学少女のような成りだ。
三つ編みの女は異常に長い舌を出しながら家の中をうろついている。片手には脇差しと思われる刃物を所持している。もう三十分はこの家にいるはずだ。
常に緊張状態の灰原には疲れの色が出てきていた。
なんとかして外に出なければならないが、大きなデイパックを持ったまま音を立てずに気配を消して動くのは容易ではない。
デイパックを捨てて逃げるという手もあるが、殺し合いを生き抜くにはこのデイパックは絶対に必要だ。
となると、やはりアポトキシン4869の解毒剤の出番なのだろうか。
「おい」
いきなり三つ編みの女が喋りだした。
「隠れてねえで出てこいよ。アタシにいつまでも気付かれねえと思ったのか?」
灰原はその言葉に一瞬だけ驚く。
(駄目だったか…)
仮にも一時は闇の組織に属していた灰原。気配を消すことぐらいはできる。だが、三つ編みの女も相当の手練れのようだ。
(逃がしてはくれないでしょうね)
灰原はデイパックから支給品であるボウガンを出した。矢は最初から一本装填されていた状態で、引き金を引くぐらいだったら今の灰原
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