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季節が君だけを変える
第一章
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手を組んで悪い気はしない。光弘の手はコートのポケットに突っ込まれたままだったがその手と組んできたのである。
「よかった。遅れてきたから組んでくれないかと思った」
「そんなことないよ」
 いつものことだから、と言おうとしたがそれは止めた。
「とにかく。行こう」
「うん」
「少し速く歩けば開始時間には間に合うからさ。途中からだったらあれだし」
「そうよね。早く行かないと」
 真紀は腕を組んだ後で言う。組むその手には毛糸のミトンがある。白く、ボンボンが先にある紐が付いていた。
「はじまっちゃうわ」
「ちょっと早く歩くよ」
「ええ」
 二人は急ぎはじめた。
「買うものは中で。それでいいよね」
「わかったわ。それじゃあ」
 こうして二人は映画館に向かった。辿り着き、中に入ると丁度今はじまったところであった。
「ドンピシャってとこか」
「そうね」
 二人は暗い映画館の劇場の入り口で言った。
「とりあえず適当なとこに座ってさ。お菓子とか買ってくるから。何がいい?」
「ええと、飴と」
「ふん」
 真紀は話しはじめた。光弘はそれを聞く。
「オレンジジュースとチョコレート。それとクッキー」
「いつもながら多いね」
「だって二人で食べるんだし。それでいいでしょ」
「そうだけれどね」
 真紀は好みも少女めいている。甘いものがとにかく好きなのだ。
「それじゃあ席を決めたら買って来るね」
「ええ、お願い」
 席は結構空いていた。まだはじまったばかりだからだろうか。
 適当な席に座ると光弘はお菓子とジュースを買いに行った。それから席に戻った。
 席に戻るともう真紀は笑顔で映画を見ていた。映画はファンタジーでよくある剣と魔法の話だ。だが内容は結構子供向けである。
「ほら見て、光弘君」
 光弘が席に戻ると声をかけてきた」
「今竜が出て来て」
「うん」
 実は光弘はこうした子供っぽい内容の映画は好きではないのだ。仕方なく付き合っている。だがそれを口に出すことはない。黙って一緒に菓子を食べながら映画を見ていた。
 映画は確かに面白い。だがやはりどうも好きな内容ではない。彼は映画を見ながらちらりと真紀の方を見た。それから心の中で思った。
(何かな)
 最近どうも真紀のそうした子供っぽさに辟易するものがあるのだ。
(何時まで経ってもなあ)
 付き合いはじめてもうすぐ一年半になる。一年の頃からだ。その時から真紀は子供っぽく、天真爛漫だった。今も同じだ。だがそんな子供っぽさにいい加減うんざりするものを感じはじめていたのだ。
 付き合いが長くなってきたからであろうか。倦怠期というやつか。とにかくどうにも真紀との交際を考えずにはいられなくなってきていたのだ。別れようか、こう思ったこともある。
 しかしそれはどうか。真紀は
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