学園祭
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刻めば涙が出るし、ニキビを潰したら血が出ますよ・・・
「 僕は人に情けをかけたりしませんよ 」
「 友人の記憶を自分の中にとどめておこうと、さっきから一生懸命考えてるのに
説得力のカケラもありませんね 」
女神様はやれやれといったご様子だ
確かに、他人の為に何かを我慢したことは無いかもしれない
これは僕の人生の指針というか、性格の問題なのかもしれない
そういえば昔からそうだった気がする
小学校から中学校、そして高校、大学へと進む過程で不要な友人は全て切ってきた
もちろん物理的な切断ではなく(そんなことしたら大変だが)、友好関係の話だ
自分を理解してくれる友人とだけ話し、他人を理解しようとしなかった
僕にとってのこの世界は、自分を中心に回っていると信じていたからだったように思う
今でさえ、女神様のコマとなった自分を中心に世界は回っていると思っている
というか、人の数だけ物語があって、その舞台がこの地球だというだけのことだ
それらの物語はお互いに影響しあい、ひとつの大きな「流れ」を形づくる
「 この世の全ては僕のためにありますから 」
「 ふぅん・・・ 」
その言葉を聞いた女神様は何故か満足そうにうなずいていた
何に反応したんだろうか?
そんなことを考えながら時計に目をやると、一秒ごとに時間を刻むはずの針が止まっている
電池が切れたのか、今度買ってこよう
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その後も掃除を続け、なんとなく1時間くらい経ったところで手を止めた
意外だったのは女神様が掃除を手伝ってくれた事で、彼女曰く
「 待ってるのが暇だったから 」
・・・とのことだった
その言葉通り、最後まで大掃除に付き合ってくれた女神様は
「 それじゃあ、行きましょうか 」
と言って、研究室から出て行ってしまった
僕も大急ぎで荷物をまとめ、後を追う
ドアを閉める時、久しぶりにキレイになった研究室に
「 また気が向いたらな 」
一言声をかけて、ドアを閉めた
女神様と並んで歩く大学の並木道
そこらじゅうで大学生が学園祭の準備にいそしんでいる
準備に忙しいせいか、和装の女神様が注目されることは無く、並んですたすたと歩く
そしてふと違和感を感じる
・・・あ、名前知らないや
思ったら即行動。隣の女神様に自然に問いかける
「 そういえば、まだお名前を伺ってませんでしたね 」
「 え? ああ、そうですね 」
「 僕は結城蓮っていいます。ご存知かもしれませんが 」
「 私はシルメリアと申します。以後お見知りおきを 」
「 ほぉう・・・・ 」
シルメリアか、いい名前だ
高校時代にやりこんだゲームに出てきた名前だな
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