第八章
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第八章
「これから。何処に行く?何か食べに行く?」
「じゃあスパゲティはどうかしら」
「スパゲティだね」
「ええ、それね」
そのスパゲティだというのである。
「それだけれどね」
「スパゲティか。いいね」
彼もそれでよかった。彼の好物でもあるからだ。
「だからね。それでね」
「ええ、じゃあね」
「それを食べに行こうか」
「そうしましょう」
こうしたことが続いてであった。匠馬は何時しか二人きりの時間を楽しむようになっていた。そうしてそうしたことが続いてである。
ある日だ。学校の喫茶店でコーヒーを飲みながらだ。こう仁に言ったのである。
「参ったな」
「参ったって?何にだ?」
「好きになったんだ」
こう言うのだった。
「どうもな。本当にな」
「好きになったって彼女がかよ」
「ああ、麻美ちゃんがな」
まさに彼女がだというのだ。
「本当に好きになったんだよ」
「おいおい、マジかよ」
仁は今の匠馬の言葉を聞いてだ。少し驚いて言う。少しである。
「それはまた」
「大して驚いていないんだな」
「その為の合コンだったからな」
笑いながらの明るい言葉だった。
「だからな」
「それでか」
「ああ、全然オッケーだよ」
こう匠馬に返すのだった。
「本当にな」
「それじゃあ告白とかしていいのか」
「ああ、ただしな」
「ただし?」
「待ってな。今あいつにも声をかけるからな」
言いながら携帯を出してみせた。そのうえでまた言うのだった。
「待ってろよ。向こうにも言うからな」
「麻美ちゃん本人じゃないよな」
「こういう時は直接本人に言わないのが鉄則なんてよ」
また笑って言う仁だった。
「あいつって言ったらこの場合はな」
「御前の彼女か」
「ああ、ちいに言うからな」
地和のその仇名を呼んでの言葉だった。
「あいつを呼んで三人で相談するからな」
「それでか」
「そのうえでか」
「ああ、話すからな」
こう言ってであった。三人で話すことになった。すぐにその地和が店に来た。そうしてそのうえで彼女の言葉を聞くとだった。
「ああ、全然オッケーよ」
「オッケーって!?」
「それって」
「だから。麻美よね」
天真爛漫とも言うべき顔で匠馬にも仁にも言うのである。
「実は昨日あの娘から同じこと相談されたのよ」
「同じってことは」
「つまりか」
「そうよ、そのつまりよ」
また笑顔で返すのだった。
「わかったわね、それじゃあ」
「俺が告白したらそれで」
「恋愛成就よ」
まさにそうなるというのである。
「見事ね」
「そうだったんだ」
「どう?告白する?」
その彼に直接問うてもみせた。
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