第六楽章 呪いまみれの殻
6-1小節
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いな? あんな奇ッ怪なモン、使ったらその場で苦労が水の泡だぜ」
要するにエレンピオス人の常識に精霊術はないから、使えるようになって白眼視されないようにしろ、とのご意向ですわね。
そうやって患者の身の上まで心配してくださるリドウせんぱいは、やっぱり素晴らしいお医者様です。
「ま、実践も何も、霊力野のないお前じゃできっこないんだけどね」
「承知しております。お気遣いありがとうございます」
膝に置いていたコートを着て、バッグを取る。
「……お前はいいねえ。いつもヘラヘラ笑っててさ」
あらお珍しい。お医者様モードのリドウ先生から個人的意見を聞けるなんて。雪でも降るんじゃないかしら。
「だって、《十錠の薬を飲むよりも、心から笑ったほうが効果がある》んですもの」
「今日は誰だよ」
「《Dチームのトマスです、リドウ副室長。最後のほうは、恥ずかしながら心療内科に通いながら任務をしていましたので》」
「ふうん。あ。言っとくけど、俺、最近、室長になったから」
「《失礼しました。昇進おめでとうございます。では、失礼いたします》」
その《レコードホルダー》はわたくしの顔で笑って敬礼し、診察室を出ました。
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