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無欠の刃
下忍編
伝達経路
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た理由が納得できない。…チャクラ伝達経路、潜る中、相手、音の構造把握し、チャクラにて、効果を転換している…? ということは、音の本来の効果を、改造したか」

 たんたんと言うが、それは生半可なことではない。
 ようは自分の頭の中をチャクラでいじくりまわし、苦しみを楽しみに変えているのだ。人体実験…だけではすまされていないだろう。
 脳を切り刻む程度のことはしているだろう。

 …あの男が、関わっているようだ。

 蛇のような、残忍で。それでいて狡猾な顔。
 思いだし、考えて。
 歯ぎしりをする。
 サスケは渡さない。何があっても、手出しはさせない。
 感情が体中を支配するが、耐えるように目を伏せる。
 きっとこれは、術の効果だ。
 カトナは、そういい聞かせて、自分の心の中にありったけに溢れている激情を押し潰し、かの金色を思い出す。
 かの金色だけが、カトナの光だ。灰色の、色褪せた色ばかり存在する、くだらないセピア色の世界で、かの金色だけが光を放つ。かの金色だけがカトナに道を与え、カトナのいきる理由を与え、カトナの全てを成す。
 私が感情を向けるのは、そう、あの子だけだ。
 だって私は選択した。あの子を守るために、私どころか世界全てを犠牲にしかねない、危険を孕んだ選択を。
 すべてを裏切ってまで、すべてをころしてまで、そういう生き方を定めたのだ。
 だからこそ、私は全うしなければならない。そこまでして定めた生き方に逃げてはならない。裏切ったことから逃げてはならない。私が彼らを見捨ててまで、かの金色を選んだのだから。だからこそ、私は守り抜かねばならない。
 この激情は、ただの呪印による幻惑だ。私の感情はあますことなく、かの金色に捧いだのだ。私のなかに、他者に向ける感情と言うものが存在しているはずがない。
 あるとすれば、それは何らかの術によって私が精神に干渉を受けているに過ぎない。
 私がかの金色に捧ぐ思いは、他の誰にも与えてはいけない。
 一刻もはやく、このような毒素は排除せねばならない。かの金色を傷つける可能性があるならば、即刻排除せねばなるまい。
 金色が望むことが第一の優先順位だ。
 金色は優しい。私の悩みを悲しむだろう。それは金色を傷つけるのと同意義だ。故に、私は一刻でもはやく、この激情を殺さなければならない。
 それはつまり、この呪印が活性化する理由である女を消さねばならない。
 ならば、と。彼女はメスを手に取った。
 ここから、伝達経路のチャクラを操るには、モルモットになる人間が足りていない。自分でするにはリスクが高い。故に、一番の安全策をとる。

 「こちらは、伝達経路を遮断する」

 青色が、鋭く、のびた。
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