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日向の兎
1部
15話
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得は諦めるそうだ。
そして、表蓮華の締めである相手を拘束し、回転によって抵抗を許さぬまま地面に叩き落とす段階になったのだが……ここで私は脱落だ。筋力やらがどう工夫しても足りん上に、そもそも私は八門遁甲が開けないのだから無理だ。
結果、リーのみが習得するということになったが……影舞葉さえ学べれば私は十分だ。
そも、一撃必殺が主な攻撃の私にとって表蓮華のような大技は必要ないのだ。私は空中に打ち上げる事が出来れば、問答無用に相手の背後を取ることができる影舞葉にのみが欲しかった。
ああ、それと今回の修行にあたってリーは八門の最初の門、開門を開くことに成功したようだ。リーはその事に関して先生にはともかく、何故か私に礼を言いに来た。
「私は礼を言われるような事などした覚えはないのだが?」
「いえ、ヒジリさん。アカデミーの頃に貴女に言われた言葉があったからこそ僕は努力し続ける事ができたんです」
「それは君の克己心故だろうが。私は君に事実を伝えただけにすぎない」
「それでも、僕は貴女に感謝したいんですよ」
「……君は変わり者だな。まぁいいさ、君が納得しているなら好きにするといいさ」
「はい、そうさせてもらいます」
まったく、リーもネジと似て律儀な男と言うべきかなんと言うべきか。そして、いつのなればリーはさん付けをやめてくれるのだろうか?
「ところで、ヒジリさん」
「なんだ?」
「蓮華とは別の術を作ったと聞いたのですが……どのような術ですか?」
「仮にも忍者が他人に術の詳細を聞くな……と、言いたいが隠すような事でもないので構わないだろう。
影舞葉までは蓮華と同じで、その後の動きからはオリジナルだ。空中という事もあり地に足をつけられないので、柔拳の威力は地上で放つものより格段に威力が落ちる。なにしろ、実質上体だけの力しか使えないのだからな。
いくらチャクラを打ち込めるとはいえ威力が格段に落ちている事は事実だ。ではその落ちた威力でも十全に殺すとなると、防御の薄い箇所を攻めるしかない。
という訳で、両手を脇腹の肋骨で守られていない箇所に挟み込む形で当てて、そこから寸頸の形でチャクラと打撃を打ち込む。両手で脇腹を挟み込む事により、打ち込んだ衝撃は相手の体内で骨などに一切妨げられる事なく進み、最終的に体内で一つになる。そうなれば威力も格段に増し、相手の体内を確実に破壊する。
防御される心配も背後を取られたとなると反射的に後ろを確認しようとするので、その間に関して言えば下腹部は無防備故に心配はない」
「それで術の名前はなんですか?」
「名前か……元が蓮華という事から花の名前になる。そうだな、彼岸花と名付けよう」











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