アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
暗転
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目にも止まらない神速の突撃が先程まで俺がいた場所を通り、その先に居た重装戦士を消し飛ばした。
「な……あれは??」
「レイ!」
訳が分からず動揺していた俺をユウキが呼ぶ。ハッと我に返ってその場から離脱し、ユウキが滞空する側まで下がった。
「……あれは、ユキナか?……何故??」
「……分かんない。突然、声が聞こえたって言って……譫言を……それから、ああなって……」
幻覚……フルダイブ環境不適合の場合起こり得る現象だが、ユキナはそんな様子はなかった。事前の五感接続チェックでも引っかからなかったし、何よりあの状態が説明出来ない。
「うわぁぁぁぁぁ??」
悲鳴を上げてあちこちに逃げ去っていくのはサラマンダーの軍勢。俺が先鋒の突撃隊を潰した事で士気が半減していた所に、いきなり鬼神のような存在が現れたのだ。並みの精神力ではもつまい。
逃げたサラマンダー以外のやつらを全て斬り倒したユキナはその宙に静止した。
「…………」
翅の使い方も、剣の取り出し方も何も俺達は教えていない。そして皇はありとあらゆる『武』から極力遠ざけられている。その執念とも言える忌避故に《絶対不戦》の盟主であり、《剣と盾》という護衛が必要となるのだ。
だがユキナは今、目の前で俺すら背筋が凍るような殺気を放ち続けている。
「螢……」
「大丈夫、そこで待ってろ」
袖を掴んで来たユウキの手を優しく包み込んで離させると、俺は大太刀を何時でも構えられるようにしながらユキナに近付いて行った。
「ユキナ……どうした?」
「け……い、さん……私……わた……っ??」
「ぐぅっ??」
初期装備のスモールソードが俺の防具をいとも簡単に切り裂き、HPを僅かに減らす。
「ユキナ!何があった!」
「あ……ぁ……ぅ…………ッ??」
周囲の大気が鳴動し、地表とオアシスの湖に波紋が広がる。
不可視の剣尖が俺の首元を僅かに擦り、真紅のライトエフェクトが走った。
(はや……っ??)
気付いた時には既に左腕は切り飛ばされ、右の胸には剣が突き刺さっていた。
「螢!」
「ッ……おぉぉぉ??」
拳にライトエフェクトを纏い、体術スキルの《閃打》を見舞う。それはほぼゼロ距離でユキナにヒットし、後方に吹き飛ばす。その際、武器は俺に刺さったままだ。
「…………ちっ」
ズリュ、とスモールソードを体から引き抜きユキナの様子を伺い見ると、少しふらつきながらホバリングしている。
「螢……」
「大丈夫……って言っても信じないだろうな。部位欠損は5分だ」
とは言え、HPも注意域の後半……ポーションの類で回復したとしても、あの速さと強さに5分は稼げまい。
俺ではユキナを止めることは叶わない。ならば、出来
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