アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
暗転
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マンダーの集団が急旋回した。進路は斜め下、俺たちがいる正にその場所だ。
「ふん……末端の狩猟部隊か。教育がなってないようだな」
選りすぐりのメンバーの狩猟部隊ならばこっちには向かってこないだろう。何故なら彼らは知っているからだ。尾鰭の付いた噂を、ほぼそのまま信じている程に。
「ユウキ、ユキナ。下がっていろ」
「はーい」
「え、ユウキ??」
ユキナが驚きながらユウキに引き摺られていく。何故一緒に逃げないのかとでも思っているのか、やや混乱している様子だ。
下がれと言ってもそこまで遠くに行く訳ではない。ほんの10m程の、戦闘に巻き込まれない程度だ。
「ユキナ、少し待っててくれ。すぐ……5分で終わるから」
大太刀を抜いて中段に構える。先頭の重装ランス隊の何人かがバイザーの奥でニヤリと笑うのを見て、俺はそれに同種の笑みを返した。
それは、圧巻の一言だった。
戦いの様子など、映画などの中の作り物のものしか知らない私には、その様子を言葉で表現出来なかった。
重厚な鎧を身にまとった人が得物を突き出し、レイさんに向かって突撃してくる。一人だけではなく、三人がまとめてだ。
それをレイさんは左から右へ、一刀のもとに薙ぎ払った。
先鋒が思わぬ潰され方をしたのに動揺してか後方の18人は動けずにいた。
『ーーーれ……』
「え?」
そんな時、どこからともなく前方の喧騒以外の声がした。近くから聞こえるのに、ハッキリとしない、そんなか細い声が。
「ユキナ、どうかした?」
「今、声が聞こえて……」
「声?……ごめん、ボクは分からなかったけど……」
ユウキは周囲を注意深く見回し、首を傾げた。
「ごめん、気のせいかも……」
もしかしたら自然音の一種だったのかもしれない。靄のかかった後味の悪さを感じながら視線を戻した時、レイは宙に飛び上がり、サラマンダーの軍勢と乱戦を繰り広げていた。
そして、またしてもそれは聞こえて来た。
『…んを…れ……』
「??」
今度はもう少しハッキリと。低い重低音の声が聞こえた。
頭の中に直接響く荘厳なその声は妙に心地よく、ユキナの中に様々な思いを形作っていく。
信念、後悔、渇望、歓喜、絶望、寂寥、激情…………
『剣を執れ。今代の皇よ』
「う……なに、これ??」
「え、ユキナ??」
ユウキの戸惑いを含んだ叫びに俺は敏感に反応した。
故に俺はその時、無力な残り火にならずに済んだ。
目にしたのは一筋の閃光、
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