アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
暗転
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若者達が街へ繰り出し、賑やかに遊んでいる頃。会議が行われている皇の別宅は俄かに騒がしくなっていた。
「悠斗、調子はどうじゃ?」
「ああ。ちとまだ残ってるが多少荒事なら問題ない。親父こそ大丈夫かよ?」
「お前に心配される程悪くはないわい。……多少、で済めばいいがの」
刻は逢魔が時。カラスが不気味に鳴き、屋敷の木々も何かを知らせるようにざわめいている。
特に何が起こったという事ではない。しかし夕刻になるにつれ、屋敷にいる者達は外部からのよくない気配、所謂《殺気》を感じとっていた。
「お爺様、お父様。桜姉様から連絡が。他家の皆様も同じ気配を感じていると。夜門が偵察隊を九条が屋敷内部の警護をしています」
祖父の命を受け、情報収集をしていた沙良が戻って来て報告をする。
「九条殿はお歳だからともかく、夜門が無駄に面子を揃えて来たのが幸いしたの……して桜は?」
「蓮兄様の指示で偵察隊に加わってます。蓮兄様は九条当主殿の側に」
私達はどうしましょうか?と沙良が冬馬に視線で問う。冬馬はすっと立ち上がって言った。
「わしも蓮と九条殿のもとに行く。悠斗、お前は雪羅さんを連れて屋敷全体を回れ。沙良、螢の同僚達と合流後、螢と木綿季ちゃん、それと友紀奈様をホークスに届けるよう要請、お前は隊に戻りなさい」
「お爺様??」
家族がこの危険かもしれない場所に残るというのに、自分達には逃げろという命令に沙良は反射的に食いついた。だが直後に祖父がそんな感情的な命令をするはずが無いと思い直し、やや冷静に戻る。冬馬も沙良が落ち着くのを見届けてから悠斗に視線を送った。それを受けた悠斗が父親の顔で沙良に言う。
「実はなさっき気になる情報が入ってな。どの道、沙良には早々に隊へ戻ってもらうつもりだったんだ。その真偽と、本当なら目的を突き止めて欲しい。道すがらなるべく安全なように螢達と合流してもらうってだけの話だ」
「……はい。分かりました……ですが、お兄様の同僚お二人にまで抜けられて大丈夫ですか?」
落ち着いた沙良が懸念したのは物量による攻撃。これほど広域に濃密な殺気が蔓延しているとなれば少しでも戦力を残しておいた方が良いのでは、という懸念だった。
その問いに対して悠斗は何故か少し驚き、その顔が苦笑に変わって言った。
「そんな事を心配してたのか……全く……そんな真面目な性格、誰に似たんだか」
血は繋がってないとはいえ、数十年一緒に暮らせば自然と似てくるというもの。わりと適当、そして雑な連中が殆どな水城家の中で沙良のような真面目な人物は中々居ない。
故に、悠斗は沙良を納得させる為に最も効果的な手段を採る。
「沙良」
「はい」
「心配してくれてありがとうな。娘にそんな事を言われるなんて、父さんはとても嬉しいぞ」
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