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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第103話 試験直前
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ながら、踵を返し、自らの席へと立ち去ろうとする。
 その刹那。

「待てよ、ハルヒ」

 我知らず呼び止める俺。何故か判らない。しかし、このまま彼女を立ち去らせる訳には行かない。そう強く思ったのは事実。
 そして、彼女が振り返るその一瞬前。

「オマエを乗せてやると言ったのは、バイクやなしにベスパやなかったか?」

 自らの中から出て来る意味不明の言葉。いや、確かにベスパも二輪車には違い有りませんが、アレはバイクと言うよりはスクーターと言うべき代物。
 これが彼女。ハルヒの記憶違いでないのなら、この問い掛け自体が俺を試す為の……。

 振り返ったハルヒの顔が驚きに彩られて居た。この表情は素の表情。普段の不機嫌な表情などではなく、本当に驚いたような表情。
 このタイミングでこの表情が見られると言う事は……。

「それに、そもそも、そんな無軌道で間違った自由への逃亡劇に参加するのは嫌や、……と答えたのは何処の何方(どなた)さんでしたかね」

 更に続けて俺の口から出て来る、俺以外の誰かの記憶。その自らの言葉の内容と、先ほどハルヒが口にした内容との齟齬。但し、おそらく俺の口から発した内容に間違いはない。
 ならば……。

「一昨日から色々と探りを入れているみたいやけどなぁ、ハルヒ」

 そもそも、俺の物は俺の物。オマエの物も俺の物。そんな人間関係ではなかった。俺と彼女の関係は。それを無理にそう言う人間関係だと言い切って、何も知らない俺に押し付けて来たと言う事は、この涼宮ハルヒと言う名の少女は初めから俺の事を疑って居たと言う事。
 その無理矢理な言い分をあっさり受け入れて仕舞った事で、彼女は俺の事を『偽物』だと疑って居た。

 その疑い……いや、むしろ確信に近かった物をひっくり返す何かが有ったと言う事なのでしょう。俺の態度。もしくは何気ない一言の中に。

 但し――

「俺は俺。それ以上でもなければ、それ以下でもない」

 ひとつの嘘を隠す為に更なる……そう考え掛け、しかし直ぐに否定。何故ならば、もしかすると、彼女と出会い、絆を結んだ俺の異世界同位体と言うのは俺の前世か、もしくは来世の姿かも知れない、と考えられるから。
 その理由は……例えば昨夜の夢。それに、この世界で出会った少女たちとハルケギニアの精霊王との関係。
 そして、今の俺に取っては意味不明の言葉がすらすらと口から出て来るこの異常な状況。
 この辺りから想像すると、少なくともまったく関わり合いのない相手だったと考えるよりは、某かの関係が有って、その異世界同位体の俺と彼女らの関係に現在の俺が割り込み、上書きをして仕舞った状態だと考える方が妥当でしょうか。

 ただ、それでも……。そうで有ったとしても現状で俺が彼女……現在の彼女ではな
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