第6章 流されて異界
第103話 試験直前
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るぐらいの落ち込み様の朝倉さん。
確かに休んでも問題はなかったとは思いますよ。でも……。
「今日、休んだとしても予備日に試験を受けさせられるだけやからな。それやったら、さっさと試験を受けて置いた方が楽」
俺は嫌いな事は早い内に済ませて仕舞いたいタイプの人間。ここで一度試験から逃げても結局は受けさせられるし、その後日の試験日まで長門さんとハルヒによる試験勉強が続くと思われるので……。
まして、俺自身の英語の記憶術は短期的な記憶。そう長い間覚えていられる訳ではないので、試験までの時間は短ければ短いほど効果が高い。
「……と言う訳やから、体調の方は問題ない。今日ガッコに出て来たのは偏に俺個人の事情やから、朝倉さんは気にする必要はないで」
医者もかなりあっさりと解放してくれたからな。
一応、医者に行った事に成って居るので、そう答えて置く俺。もっとも、本当は医者になど行かずに、そのまま綾乃さんの車で長門さんの部屋に運び込まれたようなのですが。
それに、現実に医者に診せたトコロで、色々と調べられた挙句、問題なしの答え以外得られるとは思えませんから。
俺が倒れたのは、俺が龍の血を引いて居たから。そんな理由が現代の医学では判る訳はありませんので。おそらく、長門さんが言ったように、お茶の中に含まれていた何らかの成分に対する過剰な反応が出たのだろう。……と言う結論が出た後に、何らかのアレルギーがある事を疑われて、その検査を行われるのが関の山。
こんな事に時間を掛けさせられる訳には行きませんから。
「ねぇ――」
後、テスト開始まで十分を切った追い込み。このカーブを曲がってから最後の直線が俺の場合はすべてを決めると言っても過言ではないのに……。
その俺の貴重な時間を邪魔するヤツが一人。
「なんや、ハルヒ。未だ何か用があるのか?」
ただ、邪見に扱うと怒り出す事が確実な相手。それに、俺がギリギリまで試験勉強をしたい理由など理解していないのも間違いない。
……ただ、その割には先ほどの彼女の問い掛けは妙に自信のない、躊躇い勝ちに掛けて来たような気もするのですが。
一瞬の内に其処まで判断して、それまで朝倉さんの方向に向けて居た視線を、俺の机の前に立つハルヒへと移す俺。まぁ、昨日のように行き成りネクタイを掴まれた挙句、無理矢理、自分の方に顔を向けさせないだけ、彼女も俺が病み上がりだと言う事を理解している、……と言う事なのでしょうね、などと考えながら。
「あんた、あの約束、覚えている?」
視線を向けた先。其処には普段通りの――。胸の前で両腕を組み、妙に見下ろす形が様に成って居るハルヒの姿が存在した。しかし、その瞬間。先ほどの彼女の言葉を俺は『躊躇い勝ち』
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